Vol.57 こんなとき、どうする?「日本にいる高齢の親への対応、親子の心理は事実を見えなくする」
介護業界でよく使われる言葉が「介護は突然やってくる」というものです。ですが、それは違います。介護は高齢になれば誰もが経験することであり、誰もが通る道です。高齢になれば心身が衰え、日々の生活に手助けが必要になってきます。では、なぜ「介護は突然やってくる」と思うのか、その時の心理や家族の役割などについて、今回はご紹介します。高齢になれば介護は誰もが経験する。
「子どもの成長」と「老いていく親」への感情の違い。
子どもが産まれ、七五三、幼稚園、小学校と成長していく姿を見るのは、家族にとって嬉しく喜ばしいことです。次は何を準備すればいいのか、困ったときには経験者である親戚やママ友にも相談しやすいものです。それに比べて、親が老いていく姿を目の当たりにするのは切なく、認めたくないことでもありです。ましてや、お盆とお正月など、短期間での帰省では「親の老い」は、なかなか気づきません。なぜなら、それはハレの日であり「子ども達が帰ってくる!」と親も張り切っているので普段の日常生活での様子が見えづらいのです。子どもは親の老いを認めたくない、親は子どもに心配をかけたくない。親も子もお互いを思い合うので、現実から目を背けがちになり「あれ?なんかちょっとヘン」という小さなサインを見逃してしまうケースが多くみられます。そして、事が起こってから慌てて対応するので「介護は突然やってくる」と感じるのです。
親の介護、次に起こることは予測できる。
その時々に家族にしかできない役割がある。
介護が必要になってくると心身の状態によって、介護保険の要介護認定では「要支援1→要支援2→要介護1~要介護5」と区分されています。要介護の数字が高くなるほど心身の状態は重くなってきます。そして、その時々で介護保険の申請、介護サービスの手配、施設探し、延命治療の有無など、介護者(介護をする人)が行うことも変わってきます。これから何が起こるのか、事前に分かっていれば、早めに対応できるので選択肢が増えて、家族にとっても最善の方法を選ぶことができるようになります。この時に大切な家族の役割とは「親のことを知り、親の意思を尊重する」ことです。子どもは意外と親のことを知らないものです。預金通帳や保険証の保管場所、親の経済状態、介護が必要になったらどのような介護サービスを望むのか、親が好きな色や音楽、子どもの頃から大切にしているものなど、一度、親とじっくりと話してみることをお勧めします。それが、今後、親の介護が必要になったとき、家族にとっての判断基準となります。
それぞれの家族には事情があり意思があります。親にも意思があります。親と子どもは別人格で別の人生を歩んでいます。これを認識することは、家族間のいざこざを防ぐためにとても大切なことです。それぞれがコミュニケーションを円滑にして良好な関係を築き、家族も親もお互いに納得できる選択をしていきたいですね。
ひとくちメモ ~私の母84歳~ No.56
「母の姿が小さく見えて」③
私達夫婦の家の近くで独り暮らしをしている母が届け物をしてくれて、ベンチにちょこんと座っている母の姿がとても小さく見えました。その姿を見た時に、娘(私)は切なさを感じました。ふと顔を上げると、若いお母さんと小さな女の子が手を繋いで歩いていて。母も私もこういう時があったなぁと思いながら、80代の母のこれからを想う。長生きすることだけが大切。とは、私は思っていません。私の兄のように、「僕は本当に幸せだった」とお空にいけたらと思っています。母の希望を尊重して、娘である私は「母への対応は、できることは全てやり切った」と悔いを残さないように生きていく。日々の暮らしの中でちょっとした幸せを見つけて、ちょっと先の楽しみを母に感じてもらえたら、母の生きる意欲につながるのではと思っています。 (続く)
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