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変化する県人会〜未来像 南加福島県人会 環境保護活動を通して社会貢献

2021-07-04

 2021年6月、カリフォルニア州では新型コロナウイルス感染拡大の防止対策がほぼ撤廃され、様々な活動が再開しました。「Stay at home」令が昨年3月に発令されてから約1年4ヶ月、長い長いトンネルでした。このトンネル期間は多くの人々が今後を考え、未来像を模索する時間ともなりました。

 南カリフォルニア州にある県人会の一つ、南加福島県人会は県人会の未来像について考え、新しい県人会活動として「環境問題への取り組み」をオンラインで開始しました。同会会長の熊田るみさんに変化する県人会〜未来像についてインタビューしました。

−県人会活動に環境問題への取り組みを追加しようと考えるようになった経緯は?

 南加福島県人会は1908年に創立され、私は2017年に第41代会長に就任しました。県人会活動を通して、南カリフォルニアでの日本人や日系人の歴史を多く学びました。また史実だけではなく、文章として残されないような人々の気持ちの動きや長老たちの県人会への思いなども感じました。

 日本という土地面積では小さな国が47の都道府県に分かれ、そしてそれぞれがアメリカという異国で100年以上もお国自慢を続けてこられた現象を奇跡だと思っています。アメリカで“県人会”のような活動を続けてきている他国のコミュニティを、私は知りません。

 2011年3月11日に東日本大震災が発生して以来、南加福島県人会は一丸となって故郷、福島県の震災復興をミッションとして活動を続けてきました。

 そして2019年に県人会は501C-3の慈善団体として認可されました。

 復興支援活動開始から10年が経つ頃(パンデミック前)、「今後の県人会のミッションは何なんだろう?」と考え始め、何か社会の役に立つ団体になりたいという気持ちが強くありました。

 私たちは福島第一原子力発電所事故が環境と人々の心を壊していく様を、環境と人々の心を汚染していく様を目の当たりにしてきました。

 震災後、福島県は科学に基づいて安全が証明されているにもかからず風評被害に苦しめられ、どれだけ悔しい思いをしてきたか計り知れません。

 南加福島県人会はその悔しさを忘れずに、きれいな空気、きれいな水の環境のために、何か少しでも社会の役に立てないかと考え始めました。

 そんな時に新型コロナウイルスの感染が拡大し、毎年恒例の行事も開催することができなくなり、その気持ちはさらに強くなったと思います。

−復興支援から10年が経ち、南加福島県人会の活動を振り返った感想は?

 災害後に強く結びついた福島の人々、そして社会が試練を受けたために強くなっていった姿が印象的でした。

 被災者に寄り添うためには、立ち直ろうとする流れの中での人間心理の複雑さがあり、それを深く考えてから行動しなければならない、そうしないと傷つけてしまうこともあると学びました。

 県人会が寄付した団体は以下です。

  ●NPO「ふくまる」(福島県)
    震災孤児サポート・汚染土で遊べない子供に遊び場を提供
  ●NPO「たらちね」(福島県)
    民間放射線測定サービス・子供の甲状腺診断サービスを提供

−3月14日にオンラインセミナー「福島からありがとう」を開催した経緯は?
 
 まずアメリカで様々な団体・個人の方からいただいた震災復興の支援についてお礼を申し上げたかったです。

 そして福島県がどのように震災復興を成し遂げたのかに焦点を当て、「福島イノベーション・コースト・プロジェクト」について発表させていただきました。当プロジェクトの中でも再生エネルギー事業の現状を中心に説明しました。

 福島県は2040年度までに県内電力需要の100%を再生エネルギーで供給するというゴールがあり、現在は35%まで達成しています。これは日本全体の再生エネルギー供給率よりはるかに高いです。

 再生エネルギーは水力・風力・太陽光・地熱・バイオマス・冬の間の雪を大きな倉庫にためておき夏に冷房用に使う雪による冷却システムなど、ユニークなシステムも開発されています。

−南加福島県人会の未来像は?

 会員たちが共に楽しめる新年会やピクニックのほかに、アメリカの環境対策が進むSmart Cityへの視察旅行なども開催できればと思います。

 震災という試練を乗り越えたからこそ、福島県は世界に誇れる故郷になったと言えるように、福島県をアメリカからバックアップしていきたいと考えています。

 また県人会も環境保護などの社会活動を通して、存在価値を高められるような団体になっていきたいと思います。


2011年の東日本大震災発生以来、被災地の農家支援などを目的として開催されているチャリティーイベント「ウォーク・ザ・ファーム」にて南加福島県人会はブースを出店。復興支援のため会津木綿で作ったグッズを販売し、「福島イノベーション・コースト・プロジェクト」の説明なども行った=タナカファーム(カリフォルニア州オレンジ郡)、2021年6月19日(南加福島県人会提供)



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