「第5回乳がん早期発見 啓発セミナー」対面式とオンラインで開催
2024-10-20
ハワイ大学がんセンター教授がトーランスで講演
BCネットワーク主催、対面式とオンラインのハイブリッドによる「第5回乳がん早期発見啓発セミナー」が9月29日、トーランスのMiyako Hybrid Hotelで開催された。ハワイ大学がんセンターの乳腺外科医・山内英子医師と腫瘍内科医・山内照夫医師が登壇。講演後には、乳がんサバイバーでありBCネットワーク代表の山本眞基子さんによる体験談をきっかけに、医師に直接質問できる質疑応答の時間が設けられた。また、キャラ弁アーティストでBCネットワークLA担当の井村紀子さんのワークショップやニジヤマーケット提供の商品がプレゼントされるじゃんけん大会も行われた。司会はフジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナルの久下香織子さんがNYのスタジオから務めた。
乳房を意識する生活習慣の重要性
冒頭では、ロサンゼルス日本国総領事夫人の曽根麻未氏が挨拶を行い、乳がんに関する
最新の状況を説明。「乳がんは米国で皮膚がんに次いで女性に最も多く診断されるがん
であり、がんによる女性の死亡率では第2位です。しかし、健診受診率の向上や検査技
術の進歩により、乳がんの生存率は着実に改善しています。この講演が皆様にとって有
益な情報となり、健診率の向上や乳がんの予防につながることを期待しています」と述
べ、同団体の活動にエールを送った。続いて、山内英子医師が「知っていますか?乳が
んのこと:検診、そしてもし病気になってしまったら!」と題した講演に移った。乳が
んに関する基礎知識や検診の重要性を詳細に解説し、乳がんリスクファクターとして初
産年齢が高いこと、初潮年齢が低いこと、閉経年齢が高いこと、肥満、アルコールの過
剰摂取、ホルモン補充療法の長期使用、家族歴などを挙げた。さらに、「乳房を意識す
る生活習慣」として次の4つのポイントを強調した。
1. 乳房の状態を把握する
2. 乳房の変化に気を配る
3. 変化に気づいたらすぐに医師に相談する
4. 40歳になったら2年に1度乳がん検診を受ける
また、自己チェック法をイラストを交えて紹介し、現在、世界的に検討されている「個
別化検診」の重要性にも触れた。「リスクに基づいた個別化検診や病気の予防は、今や
医学における重要なテーマです」と述べ、予防と治療に対する意識の向上を呼びかけた
。山内英子医師は「医学は進化し続けており、その方に合った診断を行うために、各個
人が自分のリスク(遺伝子や家族歴)を把握することが、より精度の高い検診に繋がり
ます。昔は、乳がんは不治の病とされていましたが、現在では生存率は大幅に向上して
います。患者が自分らしく生きるために、医師と患者が共に治療方針を話し合うことが
大切です。そのために、正しい知識と予防方法を持つことが重要です」と締めくくった
。
遺伝子検査の重要性
次に登壇したのはハワイ大学がんセンターの腫瘍内科医である山内照夫医師。山内照夫
医師は、34年以上の医師経験を持ち、その経験の中でもここ近年はがんの治療法や治
療薬が急速に進化しているという医学の現状を伝えた。その一つに遺伝子検査が普及し
ていることを強調した。「遺伝とは親から子へ伝わる現象です。遺伝子検査を受ける際
には、自分だけの問題か、家族にも影響を与えるものかを理解することが重要です。遺
伝子は体内のタンパク質の設計図を持っており、複数の遺伝子に不具合が生じるとがん
が発生する」と説明。遺伝子と体内のタンパク質の関係を図解で示し、体を形作るタン
パク質や体の働きを保つタンパク質、そして酵素の重要性にも触れた。遺伝子検査に関
する質問があれば、医師に恐れず相談し、正しい知識を得るために積極的に医師とのコ
ミュニケーションを取るべきだと呼びかけた。この模様は、BCネットワークのYouTube
で公開される。 過去のイベント動画は、Website: :http://bcnetwork.org/のYouTubeをクリックするとご覧いただけます
(川上ともこ)
がんと向き合いながらも自分らしく生き抜く選択があると語る山内英子医師
乳がんの検査と治療についても紹介する山内照夫医師
右から山本眞基子氏(BCネットワーク代表)、猪瀬崇徳氏(領事兼医務官)、山内照夫医師、山内英子医師、井村紀子氏(キャラ弁アーティスト)