ドジャースと石灯篭の強い絆
2024-11-06
今年のワールドシリーズは、ドジャースとヤンキースという東西の人気球団が対決43年ぶりの顔合わせとなった。
今年は大谷翔平選手と山本由伸投手のドジャース入団で、多くの方がドジャー・スタジアムに足を運ばれたことだろう。今年の開幕直前に日本の石灯籠をドジャー・スタジアムのトップデッキの人々が行き来する場所に移設されたのはご存知でしょうか?
その春日型の石灯籠は、高さ2.4メートル、重さ約1.8トン。日本プロ野球の誕生に尽力され、日本野球殿堂入りしている鈴木惣太郎(そうたろう)氏によって、開場記念として1965年に寄贈されたものである。
鈴木氏は、群馬県生まれ、米国留学でベースボールに夢中になり、読売新聞にメジャーリーグのコラムを連載していた。そのコラムを目に留めたのは、同社社主の正力松太郎氏で、ベーブ・ルースやルー・ゲーリックを中心としたメジャーリーグ選抜を日本に招聘する大役を鈴木氏に託し、実現させた。
1958年ドジャースは、ニューヨークのブルックリンからロサンゼルスに本拠地を移し、1962年には今の場所にドジャー・スタジアムが完成し、その開場式のセレモニーに日本の野球界を代表して招かれたのが鈴木さん夫婦だった。
当時懇意にしていたウォルター・オマリー・オーナーに何か記念になるものを贈ろうと考えていた鈴木氏は、友達で鹿児島県出身の日系二世、江籠与春(えごくみはる)氏に相談し、日本の文化を感じられる石灯籠に決まった。
1965年、球場のライト後方の丘に設置され、その後園芸家である江籠氏らは桜の木を植えて小道を作り、伝統的な日本庭園を作り上げた。
今は、ロサンゼルスのダウンタウンを見下ろす場所に移設されたこの石灯篭には、「1962年4月9日、ドジャー・スタジアム開場記念招待者、鈴木惣太郎、とく寄贈」と刻まれている。
トップデッキに移設された石灯篭
庭の手入れをやってきた江籠氏