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第19回 ポエム・タウン
<成人の部 俳句 入賞作品>
嶋 幸佑選 一葉の栞に閉じる長夜かな 生地公男
佳作 月白しはんなりと待つかくれ宿 ロペス文子
佳作 秋暑し胡瓜は蔓(つる)にまだ下り 内 アリス
佳作 滑子汁とろけるほどに夜深し 黒川彩歌
日刊サン選・TJSラジオ選 生き様を変へる気は無し山椒の実 ロペス文子
日刊サン選努力賞
秋更けて恋の亡骸捨てに行く 鈴木清司
名月に 見とれしばしは 手が休み 詩月直竹
苅田には落穂一杯子等平気 那智高雄
風さわぎ雲散る果てや秋もよう 金子ミツ江
幼子に親の願いや七五三 浅子 恵
選者のことば
―選者・嶋 幸佑
回を重ねるごとに、選が難しくなってきているのですが、今回は特に、その感を強くしました。俳句として整っている句も多い中、私は、どちらかと言うと、生活実感のある句、作者の暮らしが感じられる句が好きで、最後はそれが甲乙の決め手となりました。
「一葉の—」。秋の夜長、読書にいそしんでいる作者。もっと読み続けたいのですが、明日のことを考え、栞を挟んで本を閉じます。重要なのは、読書の満足感がそこに感じられること。本とともに、作者の夜も閉じられます。
「月白し—」。この作者は、かなり俳句にたしなんでいると思われます。他の作品もよかったのですが、「かくれ宿」で「はんなりと待つ」という上品な色気に食指が動きました。
季語は俳句の命。歳時記にある例句を十分に味わって、季語を自分のものにすることが大切です。
「滑子汁—」。寒い冬の夜、凍えていた作者の心がとろけていくようすが伝わってきます。
―選者・日刊サン
今回は、秋の句が多くありました。秋の夜長は素敵な作品が作りやすいのでしょうか。応募作品には少し肌寒く、人恋しい気持ちが表現されている作品もあったのが印象的です。
「生き様—」。人には個々の生き様があり、それぞれのスパイスを持っていて、山椒の実のように“ピリッ”として己をつらぬき生きている人もいると言っているようで、素敵です。オトナのピリッとした感じの一句です。
―選者・TJSラジオ
人生の軌跡がほんのり浮かび上がるそんな「格好良い」一句。未来をもまっすぐ射る視線さえも感じました。その真にある優しさ、信念、真実が奥深く息づいていて、そんな姿勢が羨ましく、このように生きていきたいと憧れも覚えています。
< 俳句 青少年の部 入賞作品>
嶋 幸佑選 歩く道ひょうがポンポンおどってる
ソーテル日本学院四年生 吉本 海
佳作 あおい雨ぺちゃぺちゃぺちゃとふっている
ソーテル日本学院四年生 大内理生
佳作 イチゴ味アイスクリームあたまがグッ
ソーテル日本学院四年生 ヒューズ愛夏
佳作 桜たち春が来るから待っててね
ソーテル日本学院五年生 マン雛乃
日刊サン選 あまがえるすごくみどりだきれいだね
ソーテル日本学院 クルーズ タティアナ
TJSラジオ選 ハロウィンはかぼちゃとまじょとおかしだよ
ソーテル日本学院五年生 シルバーマン結
日刊サン選努力賞
花が咲く花がうつくし春になる
ソーテル日本学院四年生 ランフォード 花
ハロウィンはかぼちゃがある楽しいな
ソーテル日本学院五年生 マイケルセン トリスタン
風がふう雨がパチパチかえるがゲッ
ソーテル日本学院四年生 ヒューズ愛夏
選者のことば
―選者・嶋 幸佑
今回はオノマトペを使った作品がいくつかありましたが、その中でも、やはり独創的な使い方をした作品が面白かったと思います。
オノマトペは、どちらかと言うと、そこに青少年らしさというものを感じさせるものですが、もちろん、青少年に限ったものではありません。使い方は意外に難しく、あまり通常的な使い方はいただけません。梅雨は「しとしと」、雪は「しんしん」といった類です。
「歩く道—」では、降る雹(ひょう)が「ポンポンおどってる」と表現しました。とても楽しそうですね。作者が珍しい雹に心躍らせている様子が伝わってきます。
「あおい雨—」は「ぺちゃぺちゃぺちゃとふっている」という表現が実に面白いと思いました。ただ、無季なのが残念。
「イチゴ味—」。この「あたまがグッ」は何なのかよくわからなかったのですが、グッドでした。
「桜たち—」。優しい気持ちがなんともいいです。
―選者・日刊サン
ソーテル日本学院の生徒さん、俳句の作品応募ありがとうございます。今回もかわいい俳句が多くとても悩みました。四季の句をいろいろ楽しくおもしろく季節の移り変わりが浮かびました。次回の作品も待っています。
「あまがえる—」。あまがえるが曇り空の中、一匹ぽつんと雨が降るのを待っている情景が浮かびます。「みどり色がとてもきれいだなー」とかえるを見ているタティアナちゃんの姿もこの句には読み込まれているようで、微笑ましい句です。
―選者・TJSラジオ
最後の「おかしだよ」がとても強く印象的で、「かぼちゃ」も「まじょ」もその布石とも思える可愛い一句ですね。ハロウィンを教えるその目線が上を向いている光景が目に浮かび、微笑ましさが倍増です。