JANMへ行こう!! vol.9 - 戦争に翻弄された日本人の姿が見える
今月のガイド
オレゴン州ポートランド生まれの日系3世。第二次世界大戦中は、オレゴン州ポートランドのアセンブリーセンターで暮らし、その後、アイダホ州ミニドカの収容所に移った。2000年よりJANMでボランティア・ガイドを始めた。
―タナカさんは、第二次大戦中、アセンブリーセンターからアイダホ州ミニドカの収容所、そしてFSAレイバー・キャンプに移りましたが、生活はどうでしたか。
「レイバー・キャンプでは、政府の承認を受けた両親がテンサイの栽培をした。私はキャンプの学校に行きながら、週末は両親を手伝ったよ。多くのキャンプの人は、その他の食材、特に大豆を栽培して、日本食風なものを食べていたね。お米のほとんどはカリフォルニアから来たけれど、キャンプの中で、日本米(後のCalrose)の栽培に成功した人もいたね」
―タナカさんが知らせたい「知られざる歴史」についてお聞かせください。
「1941年に、アメリカ政府は合成ゴムの生産促進の方針を立てた。合成ゴムは、軍艦やミサイルなどの軍事兵器の生産に必要な材料で、テンサイから抽出されるエタノールを原料としている。ということは、つまり、真珠湾攻撃が起きる前に、アメリカは日本と戦争となるだろうということを見込んでいたと私は考える。
更に言うと、真珠湾攻撃後、FSAレイバー・キャンプの日系人は、アメリカが日本と戦うための『合成ゴム』の生産に大きく貢献していたということになる」
―つまりアメリカ政府は、日系人を収容所に入れてテンサイを栽培させ、それを戦争のために使う…というシステムを、戦前から計画していたということですね。ある意味皮肉で非常に戦略的です。
「日本の山本五十六は、アジアから合成ゴムを調達していたが、戦争に必要な合成ゴムを充分に調達しきれないことに気がついていた。だから時間軸を早めて、真珠湾攻撃が起きたんだ。これは、単なる一つの学説ではないんだ。これは、単なる歴史上の事実なんだ。
百科事典に『合成ゴム』についてなんて書いてあると思う?『合成ゴムがなかったら、連合国は第二次世界大戦に勝利できなかったかもしれない』と明記されているんだよ」
―アメリカ政府は、日系人を敵性外国人ということで収容所に送り、連合国の勝利に貢献させたと言えますね。戦時中、日系人がどう翻弄されたか見えてきました。

もっと知ってJapanese American!
「グレッグ・キムラJANM館長インタビュー」

私は日系四世です。曽祖父のユウスケ・キムラは長崎からサンスランシスコに来て、アラスカ鉄道路線建設のためにアンカレッジに移りました。後に、洗濯屋やレストランを始め、家族はその家業を長いこと営みました。
高校では日本語のクラスがなかったので、私は残念ながら日本語を話せませんが、今、覚える努力をしています!
日本企業とJANM
日本企業は、アメリカにおいて自分達が成功できたことの理由に、日系一世と二世達が人種差別や偏見を乗り越え、信頼を築いてくれたおかげだという認識をもってくれています。日系のタイヤメーカーのニットータイヤの水谷社長も最初の日本人移民とその子供達に感謝し、自分達がアメリカで活躍できるのは、すべて彼らの忍耐と努力のおかげだと話してくれました。私はこのような話が、JANMと日本企業、日系人をつなぐ自然な理由の一つだと思っています。
今後の展示企画
JANMの目的は、日系アメリカ人の歴史と体験を通じて人種と文化の多様性に対する理解を促すことです。しかし、それらは、現在の新一世、新二世、三世とよばれる人々の体験を反映していません。そこで私は今までと違った展示をいくつか企画しています。
2014年はハローキティ誕生40周年を記念し「ハローキティ」展を開催します。この展示では、社会学的、歴史的な一面を紹介するために、レディ・ガガのハローキティドレスなどを例とした展示を行います。
来年は、「ドジャーズ」展も企画しています。テーマはドジャースとアメリカの公民権運動、また、ドジャーズと日本野球界です。ジャッキー・ロビンソン、野茂秀雄、また日系アメリカ人たちの野球にも焦点をあてます。ドジャーズのかねてからのオーナーは、オマリー家でしたが、オマリー氏のオフィスには記念となる物品がたくさんあり、それらの一部を展示します。
また「ジャパニーズタトゥー(刺青)」展を企画しています。日本で刺青といえばヤクザですよね。アメリカでは現在5人に1人の大人が刺青をしているといわれています。この展示ではカリフォルニア大学の教授を招き、特に日本の手彫りの彫師に焦点をあてます。

日系一世は戦前に渡米し、彼らは日本人としてアメリカ人と同化しようとしました。それが二世、三世の世代になり変化し、やがて四世、五世になると彼らは生まれながらにしてアメリカ人となりました。しかし、彼らは日本人文化の遺産とは何か、それにどんな価値があるのか?を考えるようになりました。
今、リトル東京では、日本人文化の遺産ではなく、ポケモン、ハローキティ、ゴジラなどクールといわれる“ジャパニーズ・ポップカルチャー”目当てに人々が訪れ、お金を費しています。私たちは、それらの新しい価値観との接点を考え出さなくてはなりません。
来館者へのメッセージ
JANMには日本語を話すガイドがいます。ここで、アメリカで日系人がこれまで築きあげてきた伝統を誇りに感じてください。日系人と日本人は時としてどのように知り合いになれるか、わからないこともありますが、JANMが互いを結ぶ接点となるでしょう

入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、先着50名にNITTO TIRE特製バッグを、読者来館者に日系移民史ドキュメンタリー「知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人」のDVDをプレゼント。
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。
JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。
100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)
★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645
写真・文 ALICE HAMA, 写真 TOMO KAWATE, 文・構成 JUNZO ARAI, TOMOMI KANEMARU, 監修 MITSUE WATANABE (JANM MANAGER, JAPAN MARKETING & PR)
2013/06/29 掲載

