JANMへ行こう!! vol.36 - 学びながら、楽しく仲良くボランティアしよう
今月のガイド

サダコ・ソギオカ 日系二世。1924年、フレスノのブドウ農家で産まれる。両親は広島出身で、家では広島弁で会話をしていたと言う。戦争が始まり、アーカンソー州ジェロームの収容所に送られる。1992年からJANMボランティアを始める。
グレン・オシマ 日系三世。祖父母は広島出身。JANMでは最初は図書館担当だったが、サダコさんに誘われてメンバーシップも担当している。内気な性格がメンバーシップには適さないと自身は語るが、周囲からは「好感が持てるので適性」と定評がある。
―サダコさんがアーカンソー州ジェロームの収容所に送られた時、まだ高校生だったそうですね。
真珠湾が日本軍に攻撃された日の翌日、1941年12月8日から翌年の5月に収容所へ送られるまで、私たち兄弟姉妹は学校には行きませんでした。その間の記憶がないのですが、外出すると「ジャップ」と呼ばれ始めたことは覚えています。私は子供で状況を理解できなかったせいか戸惑いもしませんでしたが、両親は傷ついたようでした。それまでは私の周りで“差別”なんて全くなくて、白人、黒人、アルメニア人、日系人、みんな仲が良かったんですよ。戦争が始まっても農場オーナーは私たち家族には親切でしたけれど、生活環境は一変しましたね。
私たち兄弟姉妹は高校でずっと首席だったので、学校ではちょっとした有名人でした。私は卒業間近でしたが収容所に入れられたので、フレスノの高校の卒業式には出席できませんでした。けれど、その高校から「1942年から45年に卒業予定だった日系人学生に今年の6月に卒業証書を授与します」と招待状が届きました!
2004年に通称「Nisei High School Diploma Project」と呼ばれる法律が成立して、第二次世界大戦中、収容所に入れられた日系人高校生に卒業証書を発行することが決まりました。この法律を通すために私も運動しました。
卒業式には、私は弟と一緒に出席します。ガウンも帽子も用意してくださるそうで、今年の卒業生の前で、校長先生から卒業証書をいただきます。今から待ち遠しくてワクワクしています。けれど私の高校は“卒業式”まで時間がかかったので、日系人卒業生50人中、存命しているのは17人だけになってしまいました。
―サダコさんにとって72年後の卒業式ですね。おめでとうございます。けれどもっと早くに卒業式が行われればよかったですね。サダコさんの青春時代の他の思い出はなんですか。
世の母は日本文化の継承を大切にしていて、女の子は茶道、華道、裁縫、料理ができなければと言って、1940年、私をフレスノの修学団に入団させて、3ヶ月間、日本へ送りました。日本では歴史建造物などを見学して、とても面白かったです。けれど、もっと日本語も日本史も勉強すればよかったと、あの時は後悔しましたね。それもあり、JANMではボランティアをしながら日本史やいろいろなことを学んでいます。
―JANMではどんな部署を担当していますか。

図書館とメンバーシップの部門を担当しています。図書館には、日系移民や戦時中の収容所の記録が収録されていて、さまざまな方が調べに来ます。また日系史の書籍を探したりするお手伝いをしています。メンバーシップ部門では、来館者にメンバーシップの特典を説明したり、外のイベントに出かけていき、JANMがどのような博物館なのかを説明します。まだ多くの方がJANMについて知らないので、一人でも多くの方にご紹介したいです。
―グレンさんは、現在、JANMで図書館とメンバーシップ、ニュースレターの3つの部署でボランティアをしていますが、始めたきっかけは何ですか?
’90年代中頃、私は一世や二世が所属する日系シニアの団体でボランティアをしていました。ある時、散策や買物をするため、そこのメンバー達を連れてリトル東京に来ました。しばらくして一人のシニアがいないことに気付き町中を探していたところ、ある二人の男性がはぐれたシニアを連れてきてくださったんです。彼らはJANMのボランティアだと名乗って、それから私はJANMに興味を持ち始めました。そして、2004年にボランティアを始めました。
―そんな出来事があったなんて素敵ですね。そのお二人にはお会いしましたか。
いいえ、お名前を聞かなかったので、まだです。私は週末だけJANMでボランティアをしているので、他の曜日のボランティアの方たちにはなかなかお会いする機会もなくて…。それに、もう20年くらい前のことなので、まだボランティアしていらっしゃるかどうかも分りません。もし、まだJANMにいらっしゃっるならお礼を言いたいですね。
―JANMのボランティアは、10年以上も熱心に活動されている方が多いですね。グレンさんにとって「JANMでボランティアをする」ことの魅力は何ですか。
私はずっと歴史に興味があって大学では歴史専攻でした。特にアジア系アメリカ人や日系アメリカ人の歴史、日本の近代史に興味があって、戦争や兵士の勉強をするのも大好きです。だからJANMでは、ボランティアをしながら日系史を勉強できるいい機会です。JANMのボランティアになるためには、いくつかのクラスを受講しました。博物館の歴史、日系史、来館者との接し方など、いろいろな内容をきちんと教えてくださって、本当に素晴しいです!これはとても魅力的ですよ。 それと、ボランティアのみなさんは親切で、作業を一緒にしていて楽しいですね。それぞれが持っている情報を気軽にシェアしてくださって、学ぶことがたくさんあります。
―来館者には、どんな体験をしていただきたいですか。
展示などから今まで知らなかったことを学んでいただきたいし、「JANMのサービスも心地良かったな」と感じていただけると嬉しいです。私のきっかけとなった出来事のようにね。
文・写真・構成 Tomomi Kanemaru
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入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、『ワシントンへの道 ~米国日系社会の先駆者 ダニエル・イノウエ議員の軌跡 ~』と『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』の2つの日系移民史ドキュメンタリーが入ったDVDを特別プレゼント。昨年末に亡くなった大統領継承順位第3位のイノウエ議員のインタビュー入り。非売品なので貴重なDVD!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。
JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。
100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)
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213-830-5645
2014/06/14 掲載

