後藤英彦のぶっちゃけ放題!
長嶋さんに乾杯!
2010-02-25
往年の大スター、長嶋茂雄さんには楽しいエピソードがたくさんあります。
学生時代、I live in Tokyoを過去形にしなさいというテスト設問に、I live in Edoと書いたそうです。
○八年で引退した清原和博選手が巨人にいたころの話も傑作です。
肉離れを起こした清原さんに、「清原はミート・グッバイか」と言ったと伝えられています。
ゲーム差が開いたときの発言に、「絶対にネバーギブアップしません」というのもあります。
ある日のことです。アドバイスと言うべきところを「あれほどアドバルーンしといたのに」と選手をつかまえ、諭したそうです。
「耳からタコがこぼれる」という発言もあったそうで、「耳にタコができる」の誤用でした。
すべてが事実とも思えないが、長嶋さんの人柄がしのばれるものばかりです。
ある漫画家のエッセーに、「こんにちわ、長嶋さん」というフレーズがありました。
「こんにちわ」は「こんにちは」の誤り。むろん長嶋さんのエラーではなく、間違えたのは漫画家のほうです。助詞の「わ」は「は」と書くのが原則です。
「こんにちは」のあとに来るはずの「よい天気ですね」とか、「ご機嫌いかがですか」といったフレーズが省略された形と言われています。
ある日、長嶋さんが血相を変えてスポーツ部の記者に抗議をしてきました。
一瞬、彼はわが目を疑いましたが、事実でした。
「どの新聞も、オレのことを長島と書いているんだよな。オレは長嶋なんだよ、長島なんかじゃない」。
長嶋さんは指でグラウンドに「長嶋」と書いて、「これなんだよ」と訴えたそうです。
長嶋さんにこんな一面もあるのかと記者のほうが驚いたといいます。
文部省の常用漢字付表に「嶋」がないから「島」を使わざるを得ないのだ。
そう説明しても長嶋さんは納得せず、「長島ならオレじゃない」と言い張りました。
常用漢字外の固有名詞の使用については、文部省も結論を急がず、半ば黙認しています。昭和のヒーローの抗議が効いたのでしょうか。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

