今月の庭仕事
Lesson 39
2011-02-15
もう、バラの剪定は終わりましたか?
剪定をすませたら、葉を全部採るのを忘れないで下さい。そのままにしておくと、新しく生えてきた葉(赤い葉)に、風や水(雨)によって菌が運ばれて、見るも無残な姿になってしまいます。新しい葉や芽が出る前でしたら、落葉果樹等の冬期スプレーと同じもの(ドーマントスプレー)をスプレーしておくと、エイフィスの卵やファンガスの菌を殺してくれます。
葉が生えてきた後のバラの病害虫といえば、葉の表面にうどん粉を振りかけたようになる病気「ミルデュー」がよく知らせていますが、みなさん、どうしていますか?一般に、白いものが肉眼で確認できた時点で、「ミルデューが付いた〜!」と大騒ぎしますが、見えた時点で菌はすでに葉の内部に侵入してしまっているので、“手遅れの状態”と考えてください。
では、どうすればいいのでしょうか?答えは、「予防が大切だ」という事です。“システミックファンジサイド”と呼ばれている殺菌剤(スプレーした後も付着した所に一定期間留まる)をスプレーすることによって、予防する事ができます。
しかし、どうも皆さん、この“システミック”の意味を誤解されている方が多いようです。今週スプレーしたら、何週間も大丈夫だと思ってませんか?先ほども書きましたが、付着したところに“一定期間”留まりますが、スプレーした後に生えた葉には移動しません。ですから2週間後、その間に生えた新しい葉には、再びスプレーするようにして下さい。
スプレーする際の注意点ですが、葉の表面は「クチクラ層」と呼ばれるロウ物質でできていて、殺菌剤と水を混ぜただけスプレーは、はじかれてしまって効果がありません。そこで、“サーファクタント”と呼ばれている添着剤を混ぜるようにしましょう。
殺菌剤の濃度は、ちゃんと説明書の指示に従ってください。濃すぎると葉が新しいので薬害で葉が焼けてしまいます。薬害が心配だからと、逆に、説明書の指示より薄くして、スプレーの回数を増やした方がいいと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、その薬に対して耐性のある品種を作り出してしまう危険がありますので、それはやめましょう。
害虫については、3月9日付けでお話します。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟・購買部会長の新垣安徳さん。同コラム18回から、「今月の庭仕事」でコラムを書いています。次回2月23日付けは、南加庭園業連盟・顧問の小山信吉さんです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。