今月の庭仕事
Lesson 55
2011-10-06
昨夜、ホームデポに買い物に行ったついでにガーデンエリアを覗いたら、なんとまだマリーゴールドやぺトゥニアを売っているんですね。読者の方の中に、花が綺麗なのにだまされて買ってしまう方がいるかもしれませんが、余命わずかです。植えてもすぐには枯れませんが、生育が悪いです。ここは一つその分の予算を土作りにまわしましょう。
土に有機物(*グローマルチ、プランティングミックスなどのことで、鉢用のポッティングミックスのことではありません)を混ぜると、土のpH値が植物の生育に適した中性に保たれます。土の中の微生物を活性化させることは以前にも書きましたが、ここでの注意点は、微生物にもいろいろあって、コレステロールに善玉と悪玉があるように、微生物にも善玉と悪玉があり、その両方ともが活性化してしまいます。植えられた植物は根から何らかのホルモンを分泌して、善玉微生物を根の周りに集めるそうです。あまり良い例ではないですが、がん細胞がホルモンを分泌して血管を導き寄せるのと同じです。
結果として、病気に対して抵抗力のある植物になります。要はバランスです。水をやりすぎる、乾燥気味が良いのに乾燥させすぎてしまう、植物の状態を考えずに肥料を与えすぎてしまう。全てバランスを崩す行為です。なぜでしょう?答えは明白です。早く大きく多くの実を、大きく多くの花を追求しすぎるからです。“早く大きく”を自然に大きくと換えると気が楽になり、余裕ができて楽しみながらガーデニングできるでしょう。
それともう一つ。「何が何でもオーガニック」と凝り固まる必要はないでしょう。私のカスタマーは、芝生の一角を野菜畑にして、化学肥料は撒くな、殺草剤・殺虫剤・殺菌剤・発芽防止剤などは使用してくれるなと、2ヵ月後、芝生も野菜畑もボロボロになってしまいました。発芽防止剤も芝生用と野菜畑用の2種類があります。殺虫剤も実がなる野菜用やフルーツツリー用(葉野菜には使用不可)があります。オーガニックはオーガニックで良いところもありますが、化学肥料で疲れきった土を蘇らせることができます。植物の最小単位の細胞の壁が厚くなり、しっかりとした植物になります。
このように書いてみると、両方(化学、自然)の長所を組み合わせるのがベストだと気がつかされます。肩をはらずに、庭をエンジョイしましょう。一つ思いついたのですが、水道水(塩素によって消毒された水)を使ったら、もうオーガニックではなくなるのでしょうかな?
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟・購買部会長の新垣安徳さん。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。