後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第158回 北の湖親方に改革の大任下る
2012-02-21
八百長相撲、弟子の大麻所持の責任をとって理事長を辞めた北の湖親方が、相撲協会理事長として返り咲きを果たしました。
協会は今、公益財団法人の資格を得るため抜本改革を迫られています。近々、改革の道筋をつけないと、税制上の優遇措置を受けられません。
古い体質から脱却しなければならない大事なこの時期に、なぜ北の湖親方が理事長に復帰できたのか。
理由は二つ。一つは人材不足、二つは北の湖親方に改革の防波堤になってほしいという親方連の切なる思い、です。
前理事長の放駒親方は改革百六項目の工程表を残して職を辞しました。改革のポイントは三つ。
一つは外部が理事を選ぶこと。江戸・勧進相撲以来、年寄が理事を選んできたが、その理事選出を外部に委ねようというのです。
二つは協会、部屋、年寄、力士の関係を明確にすること。
協会は年寄、師匠、力士らと雇用契約を結び、力士をプロとして登録します。部屋を経営する年寄とも委任契約を結びます。
これで就業規則、責任と義務が明らかになります。
三つは協会が年寄名跡を一括管理すること。この年寄名跡の扱いが一番難しい改革になるといわれています。
かつての師匠は後継の弟子に無償で引き継がせていたが、そのうち彼らは後継者に金銭で権利を譲るようになりました。
譲渡金は巨額にのぼり、バブル期のころで三億円超、ここ数年は一億七千万円。右から左に作れる金額ではありません。
年寄名跡を得た親方の多くは高額ローンを組み、毎月支払いに追われています。
年寄名跡を協会にとられる親方には巨額の借金だけが残ります。年寄名跡を返す親方に協会は功労金をわたすが、ローンをカバーしてくれる金額の保障はありません。
文科省のOKが出れば税制上の優遇措置がもらえます。同省の監督を嫌って民間団体に下れば会社並みの重税が課せられます。
改革の成就は既得権者でもある北の湖親方の双肩にかかっています。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。