今月の庭仕事
Lesson 67
2012-03-24
前回は収穫の最後に、「お礼肥として即効性の液肥をあげてください」と、書きましたが、いかがでしょうか? たくさんの実を作って木は疲れ果てています。そんな時に、有機肥料をやっても効くまでに時間がかかりすぎて役に立ちません。「役に立ちません」と言うのは少し語弊がありますか…。液肥が効いて木が元気をとりもどした後なら、役に立ちます。
有機肥料によって、土の中の微生物が活性化すると、化学肥料も良く効きます。つまり肥料というのは蒔けば効くという物ではなく、その時期に適したものを、植物がその時期に必要としているものを蒔くということが、一番大切です。
成長期だから窒素だけ与えれば良いわけではなく、地上部が成長するためには、地下の部分も一緒に成長しなければならないので、燐酸もカリも必要です。肥料の袋に成分の3つの番号が印刷されています。比率が3つとも同じもの「15-15-15」、左肩上がり「21-7-4」、右肩あがり「6-24-24」。これらの番号のは「%」で、50ポンドの袋に「15-15-15」と印刷されていれば、50ポンドの15%(7.55ポンド)が窒素ということです。1ポンドの窒素を蒔くには、6.66ポンドの「15-15-15」を蒔けばよいということです。
しかし、どの植物が、1年間にどれ位の量の窒素、リン酸、カリを必要とするのか?土の状態、散水回数、水の質などによって変わってきますので、肥料の入った箱や袋に印刷された使用法に従った方が無難です。特に、説明書はよく読むようにしてください。「蒔けばいい」ではなく、1年間の成長の最終過程が収穫ですので、各過程に適した肥料、回数、量が必要です。
ちなみに、柑橘類(マンダリン、タンジェリン、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ等)は、年に1.6ポンドの窒素が必要です。「15-15-15」をお使いの方は、2.5~3ポンドを年に4回(1月、3月初め、4月の終わり、6月の初め)蒔けばいい計算です。お使いの肥料の番号を確認して、計算してください。くれぐれも、窒素過多にならないように。
もう一つ大切なことがあります。窒素、リン酸、カリの三大要素以外の微量要素と呼ばれるミネラルも忘れてはいけない要素です。それと1年に一度、柑橘類の木の周り“ルーツゾーン”と呼ばれている辺りに、キャメリア、アゼリアミックスを蒔いて、土を弱酸性に保ちましょう。これで、来年、皆さんが甘いミカンを収穫できるはずなんですがね〜。最後に、これらは全て、ミカンの木がフールサンロケーションに植わっているという条件の上に成り立っています。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟の新垣安徳さん。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。