キム・ホンソンの三味一体
vol.11 「パパの、ママの、そして私の」
2012-08-02
今年もリトル東京で日系と韓国系の友好のためのイベントを開催することになりました。2008年以来、何らかの形で日系と韓国系の友好のためのイベントを開催することができて本当に感謝に思います。振り返ってみると、リトル東京に韓国系の住民やビジネスが増え始めた頃、同じアパートに暮らす両者間の葛藤を解消するために関わり始めたのがきっかけだったと思います。
「韓国人はルールを守らない。午後10時以降でもコインランドリーを平気で使う」(実は規則が日本語と英語でしか書かれていなかったための結果でした。)「共同ガーデンに植えたムクゲ(韓国の国花)の芽を日本人が摘んでいる」(これはそのアパートが契約している庭師(しかもラテンアメリカ系の方)がトリムしてくれていただけの話でした。)
いちいち例を出したらきりがないのですが、このように私たちは、自分の周りで何か不可解なことが起こると、それがなぜなのか、誰のせいなのかを早く突きとめたくなるようです。そして、たまたま自分とは全然違うバックグラウンドの人がいると、その人を実際に知ることもなしに疑い、断罪してしまうことがしばしばあるのではないでしょうか。
偏見や通念にたよらず、実際に両者が触れ合って分かり合える場を設けようというのが、開催している日韓イベントのゴールです。
今年、日韓友好委員会では、7月28日にリトル東京にて「日韓ハーモニーコンサート」を開き、日韓のエンタテインメントを通して交流できる場を設けます(このコラムが掲載される時は、コンサートは終わっていますね)。
また「リトル東京日韓レストラン巡り」と題して15%オフのイベント・パスポートを使って(7月28日から8月12日まで)色々な日韓の味を楽しんでもらうという企画もあります。このイベントのために、リトル東京の日韓レストランをはじめ多くの団体や機関からサポートを受けることができました。思いが通じたようで、心がとても温かくなりました。
先日、家内が、家の壁に貼ってあるイベントのポスターにある日本と韓国の国旗を見ながら、2歳になったばかりの娘に「これはパパの国、これはママの国」と指をさしながら教えていました。最近言葉数が増えて来た娘も、「パパの、ママの」と指をさしながら繰り返していました。いつの日が「パパの、ママの、そして私の」と言える日が来ることを夢見つつ、思い出しては微笑んでいます。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。