後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第206回 一万円札を一㌔束ねると一兆円
2013-01-21
正直な話、兆のつく金額をいわれてもピンとこないのが庶民感覚です。
日常生活とあまりにかけ離れた次元なので、想像が及ばないのです。
本年度二月の補正予算は四兆六千億円、年度補正予算の総額は約一○兆円などといわれても「あ、そう」と即、やり過ごします。
かつてパロスバーデスに住んでいらしたウォルター渡辺さん(故人)に「後藤さん、一兆円がどれほどのものかわかりますか」と訊かれてギョっとした記憶があります。
何事も突き詰めて考えるタイプの人でしたから、こういう問いになったのでしょう。
渡辺さんはNHK大河ドラマ「八恵の桜」のヒロイン八恵の夫、新島襄の創設した「同志社」の出で、アジア人として初の米系商社副社長を務めた傑物です。
二月の補正予算四兆六千億円がどれほどのものか、一万円札でビジュアル化してみましょう。
一万円札の厚さは約○・一㍉、百万円で一㌢、一億円で一㍍、一兆円で一㌔、四兆六千億円のお札は四・六㌔という飛んでもない高さです。
これは日本一の富士山(三七七六㍍)プラス筑波山(八七七㍍)を重ね合わせた一万円札の高さにほぼ等しく、六三四㍍の東京スカイツリーは一万円札を六三四㍍積み上げた高さに等しいことになります。
恋人に毎月一億円のダイヤを買って上げたとします。一年で十二億円、十年で百二十億円、百年で千二百億円、千年で一兆二千億円です。
それでも使い切れません。四兆六千億円を使い終えるには恋人に三千四百年以上生きてもらわねばなりません。
ダイヤを贈る男のほうも日本建国どころか弥生時代以前から今日までの時空を生きて初めて成立するお話です。
日本国の巨額赤字もまるでピンときません。政府の財政赤字八百兆円以上、特殊法人などの隠れ借金を加えると軽く千兆円を超えるそうです。
一万円札を束ねて東京・福岡間を繋いだ距離にほぼ等しいから、絶句する以外にもう打つ手はありません。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。