Alice in WINEderland
Vol. 21 Stanger Vineyards
2013-01-21
今年3月に開催されたロスの3大ワインの祭典の1つ、LA Wine Festでの出会いをきっかけに、今回はStangerの醸造家JP French氏を訪ねてパソロブレスの醸造所を訪問。Stangerはオーナーの苗字であり、元々はフランスからの移民一家である。ワインは$100を越えるラインも少なくなく、ハイエンドクラスであるが、その高品質と個性的な複雑味は専門家の間で評価が急上昇している。Stangerのワイナリーと醸造所があるパソロブレスは、ロスから車で北に4時間ほどの場所に位置しており、近年特にシラーなどの所謂フランス・ローヌ地方の葡萄品種や、まだ米国では珍しいスペインやイタリアの葡萄品種の栽培が盛んになってきている。
訪問させて頂いた9月下旬は、葡萄の収穫シーズンで、摘みたての葡萄の試食と、その醸造過程を見学させて頂いた。French氏のルーツはアイルランドとのことで、醸造所に到着するやいなや、「まずは」とビールを差し出しだ。明るくウィットに富んだ楽しい会話の中で、彼が目指すワインとは、大手ブランドのような大量生産ワインと差別化を図り、同じ価値観を理解してくれる人だけに飲んでほしい「手作り感溢れる個性派」であることを語ってくれた。French氏は、伝統的なワイン作りを尊重しつつ、新しいスタイルの高品質ワインの生産に意欲的に取り組んでいる。
例えば、同じ年に収穫した葡萄をアメリカン、ハンガリアン、フレンチの3種類の異なる樽で熟成させ、どの樽が一番彼の葡萄との相性が良いかについて研究を続けている。また、ほとんどのワインは、飲み手にとって最高のコンディションであることを重要視し、4年以上熟成させたものしか一般リリースを行わない。一風変わった、「ソムリエ騙し」というテンプラニージョをぜひ一度お試し頂きたい。テンプラニージョ品種の特徴とされる、なめし皮のような香りが緩和され、非常におだやかで優しい舌触りと奥行きのあるフィニッシュとなっている。
詳細はウェブサイトにて:http://www.stangervineyards.com/
(写真:FRAMESNATCHER)
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。