Alice in WINEderland
Vol.23 Beaujolais
2013-01-21
ボジョレーと言うとすぐに思い浮かぶのが、ボジョレー・ヌーボー。日本では最もワインの売り上げが上がるイベントの1つとされ、過去のデータを見ても、世界に出荷されたボジョレー・ヌーボーのおよそ半分が日本に輸入されていた年もあった。近年アメリカでもプレ・サンクスギビングのイベントとして、ワイン業界では注目度が上がりつつある。
そもそも、ボジョレー・ワインとは、フランス・ブルゴーニュ地方の南にあるワインの産地の名称であり、フランスの法律に基づき、この地域で栽培されたガメイ葡萄を使用して作られたワインを指す。そのうち、同年に収穫された葡萄で作られた新酒をボジョレー・ヌーボーという。ガメイ品種特有のフルーティーで若々しく、柔らかな印象。チェリーキャンディーのアロマと表現されることも多い。毎年11月の第3木曜日午前0時に販売が解禁される理由とは、かつて地酒として地元で消費されており、出来立てのワインの方が素晴らしいと評価されていたことに遡る。そのため、各ワイナリーが先を争って蔵出しをするようになり、まだ発酵が完了していない「未完成のワイン」が市場に出回るという問題が生じた。そのため、1967年に、フランス政府はワインの品質を維持するため、「収穫した葡萄を使用したワインを11月15日(後に第3木曜日)まで販売してはいけない」という内容の法律を制定した。これがボジョレー・ヌーボー解禁イベントの始まりである。ボジョレー・ワインの有名な作り手としては、アルベール・ビショー、ジョルジュ・デュブッフなどが挙げられ、飲み口の良いスタイルは世界中の多くのワイン通から愛されている。
一方、前述の通り、忘れないで頂きたいのは、ヌーボーでないボジョレーの存在である。特に、格付けがされている所謂クリュ・ボジョレー(10村)には良質なブルゴーニュ・ワインのような複雑味のあるものもある。今後ボジョレーの新たなスポットライトに期待したい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

