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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第216回学校体罰に対する国々の対応

2013-05-28

 学校の体罰を容認しない国は百二ヵ国にのぼります。
 国連加盟国が百九十三ヵ国だから、体罰の非容認国と容認国の数はほぼ拮抗しています。
 なかには日本や台湾のように法的に体罰を認めないのに黙認しているケースもみられます。
 日本の悪弊は教師まかせで、体罰ルールを持っていないこと。
 昨年十二月、大阪市立桜宮高校バスケット部の男子生徒は顧問教師の体罰に耐えられず自殺しました。
 教師の感情のまま執拗に平手打ち、足蹴りの数々。校長から体罰許可をもらう手続きも踏みませんでした。
 体罰を容認するのは米国五十州中十九州で、ミシシッピ、アラバマなど南部で特に目立ちます。
 米国や多くの国は体罰のルールを持っています。木製パドル(長さ六○㌢、幅一○㌢、厚さ一・五㌢)で、力の限り生徒の臀部をたたきます。
 たたく回数は米国、シンガポール、マレーシアで六回以内、韓国十回以内と決めています。
 たたくのは校長か副校長の役で、担当教師は体罰現場に立会います。
 シンガポールの体罰はより厳格、慎重で、必ずしも校長に任せません。体罰委員会の審議でパドラー、パドルによる打撃数を決めています。
 北欧プロテスタント諸国には生徒の体罰を主、人権を従にしてきた歴史があります。
 ドイツが典型で、一九八三年まで容認し教師の体罰を法律で犯罪としたのは一九九三年でした。
 オランダ、スウエーデン、ノルウエー、イタリア、スペインなどは二十世紀前半まで体罰を認めていました。
 アジア諸国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、韓国、北朝鮮、中国は未成年の体罰を許容、人権の上に置いています。
 手の付けられない生徒には体罰で悟らせるしかないと考えています。
 体罰は死刑に似ていませんか。パドルでぶたれる恐怖が悪行を抑止します。残酷な犯行を死刑が抑止するのと同じです。
 ルールある体罰は人権侵害というより教育的〝愛のムチ″と言えないでしょうか。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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