後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第217回悲喜こもごもの高級車セールス
2013-05-28
ヨーロッパなど世界の財政不安をよそに超高級車のロールスロイス、ベンツなどの高級車がよく売れています。
創業百八年のロールスロイスが二○一二年、史上最高の三五七五台(過去最高は一昨年の三五三八台)を売り上げました。
最も売れたのは大企業、大富豪ひしめく米国で、あとに中国、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋と続いています。
一番安いゴーストで二四万六千㌦、最高級ファントムになると四七万㌦を超えるから、もはや庶民の手に負えません。
世襲富豪や大会社、中国の成金子弟に特に人気といわれています。
オークションで○七年十二月、運転可能な一九○四年製ロールスロイスが三五二万一五○○ポンド(約八億円)で落札されました。
落札したのは世襲の収集家で、予想価格の約二倍だったそうです。
一○万㌦前後の高級車市場はベンツ、BMW、レクサスの三つ巴。
二○一二年の北米販売実績によると、ベンツが過去最高の三○万五○七二台(前年比一五・四%増)を売ってトップ。
あとにBMW二八万一四六○台(同一四%増)、レクサス二四万四一六六台(同二三%増)、キャデラック一四万九七八二台(○七年以来最高)、アウディ一三万九三一○台(同一八・五%増)。
東北大震災で減産を強いられたレクサスは一一、一二年と連続三位。
一九九九年から二○一○年にかけ十一年続けてトップを走っていただけに、トヨタ社員は切ない思いをしています。
社外秘をひとつ。レクサスの米国投入について一九八九年前後、米国トヨタの議論が二分していました。
東郷行泰社長は積極派、販売企画責任者の鈴木弘然氏は自重派。
社長の投入策が当たり、不敗のレクサス神話が生まれます。
切れ者で親友の鈴木氏はその後、本社総合企画部長などを経て「フォード日本」に転出します。
名門フォードを率いた鈴木社長の八年間は、他社に「販売の鬼」と随分恐れられたそうです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。