後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第218回ヤクザと闘う〝日本のガンジー
2013-05-28
東京の宮本照夫氏から「危機管理研究会編『実践!社会VS暴力団』が三月末、発売になった」との知らせが来ました。
宮本氏は川崎で焼肉店を開業以来、クラブ、スナックなど約五十店舗をオープン、成功したビジネスマン兼作家。
看板の「暴力団お断り」を半世紀にわたり実践し、〝日本のガンジー″と呼ばれています。
「それでもヤクザはやってくる」(朝日文庫、○七年映画化)など約十冊の著書もあります。
「実践!社会VS暴力団」は七三六㌻、五二五○円の大著です。
警察庁幹部をはじめ犯罪学者、弁護士らが暴対法二○年の軌跡を追って多面的に記述、暴力百科風に仕立てています。
専門家に混じり飲食業を代表し宮本氏も文章を寄せています。
請われて特定非営利活動法人・危機管理研究会に入会したのはちょうど一年前。
学者でも弁護士でもないのに勧誘されたのは他でもありません。
暴力団の脅しにひるまず、百人余のヤクザ、不良の検挙に協力した陰の功あってのこと。
今を去る四ヵ月前、宮本氏は新刊「学校が教えてくれないヤクザ撃退法」(新潮文庫)を世に問いました。
ゆするヤクザ、ヤクザと芸能人、ヤクザ顔負けの政治家の生態と撃退法を書いています。
「解説」五千六百字をわたしが引き受けました。ヤクザとマフィアを対比しつつ日米の警察、日米の暴力犯罪取締法の比較に努めました。
とりわけ米国の「威嚇脅迫および腐敗組織に関する連邦法」(RICO法)の法旨に注目し頁の多くを割きました。
犯罪組織の企業支配を禁じ、実行犯でなくてもボスを裁判にかけられ、組織の財産を没収でき、組織の支配する企業を解散できるRICO法の精華を強調しました。
七四歳の宮本氏、死ぬまで暴力団と闘うと誓っています。その地獄の体験(新潮文庫、朝日文庫)に触れて〝日本のガンジー″の生き様を学んでほしいと思います。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。