後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第221回島主を目指す果てない男の夢
2013-05-28
島を持つのは男の果てない夢です。
歌手のさだまさしが長崎県大村湾の小島(○・六平方㌔)を買ったのは三十三年前、一九七九年のことです。
当時のヒット曲「雨やどり」の印税二千万円を投じて取得、旧称「寺島」を「詩島」(うたじま)と改め、自分の城としました。
欧米の富豪はことに島を持ちたがります。都会の喧騒に疲れた自分を取り戻すため、島の自然に救済を求めるのです。
二十世紀の海運王アリストテレス・オナシスもギリシャのイオニア海に浮かぶスコルピオ島(八・一平方㌔)を所有していました。
二十世紀最高の歌姫マリア・カラスと結婚後、ジャクリーン・ケネデイと出会って再婚、式を挙げたのもこの島です。
スコルピオ島は自然を保ちつつ整備され、世界で最も美しい島の一つと称されています。
ファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニが遺族と粘り強く交渉し二○一○年九月、一億九千万㌦で買収、話題になりました。
ビル・ゲイツやマドンナも同島に強い関心を示したといわれています。
とりわけ富豪らの気を惹くのはポリネシアやカリブ海に浮かぶ島々ではないでしょうか。
名優マーロン・ブランドが所有していたのは十二の小島から成るテティアロア島。
タヒチに近い直径七㌔の岩礁地帯。遺族はバンガロータイプのホテルを建設中で、今年の開業を目指しています。
俳優兼監督のメル・ギブソンは○五年、千五百万㌦でフィジーのマゴ島(二十三平方㌔)を取得。マゴ島の前の所有者が東急電鉄だったので、日本のメデイアを大いに賑わせました。
バハマ周辺の島持ちにはロスチャイルド男爵、ジュリア・ロバーツ、レオナルド・デカプリオ、ダイアナ・ロスらも名を連ねています。
島は男の夢をはぐくむ一方で、危険も孕んでいます。
尖閣諸島をめぐる日中の領土権争いは男の夢どころではありません。
国の誇り、面子をかけた意地の張り合いがアジアの悪夢とならないよう祈るばかりです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。