苦楽歳時記
Vol.30 如月とキムチと二月の菓子
2013-05-28
一年中温暖な南カリフォルニアであるが、所によっては未明から早朝にかけて、まだまだ冷え込みが厳しい。万象いきいきとして春らしくなるには、もう少し時間がかかりそうだ。
陰暦二月の異称は「如月」(きさらぎ)である。寒いので着物を更に重ね着するので、「衣更着」などとも書くと教わった。また、歳時記にもそう記されてある。実はこれは誤りで、正しくは草木の更生することをいい、「生更ぎ」と書く。
日本では、韓流ブームといわれて久しいが、当地でも九年前の『冬のソナタ』以来、日系のスーパーではキムチがよく売れていると聞く。
『ためしてガッテン』の受け売りであるが、キムチ鍋を美味しくこしらえるコツは、豚肉とキムチを鍋に入れる前に、まず、フライパンにゴマ油をひいて、じっくりと炒めることである。一緒に煮干も鍋に少々入れると、まろやかでコクのある味わい深いキムチスープができあがる。
キムチ納豆は血栓を溶かして、血液をサラサラにする効果があるといわれている。僕は、キムチを刻んで納豆を混ぜたものに、ネギ、モロヘイヤ、そして青紫蘇をみじん切りにしたものを加えて、ご飯(雑穀入り胚芽米)にかけて食べている。
毎年二月になると、子供のころに味わったうぐいす餅や、わらび餅を懐かしく思うことがある。中でも、日本最古の長編小説『宇津保物語』、『源氏物語』に「つばいもち」として出てくる椿餅は、唐菓子の一種で、日本で最初の菓子といわれている。
一句浮かびました。「父母偲び自由の国でわらび餅」
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。