Alice in WINEderland
Vol. 28 Wan Fiore Project
2013-05-28
「ついに初リリースが決定したんだ」という連絡を頂き、レドンドビーチにある人気ワインバーFriends of the Vineで、久々の再会を祝うとともに、彼のワインを試飲させて頂きました。友人のRaymond Wanと彼のパートナーRobert Fioreが手がけるワインはWan Fiore Projectと名付けられ、最近人気の「ワイナリーを持たない」のスタイルを採用しています。具体的には、ワイナリーと畑の使用と葡萄の購入の契約を行い、ワイナリーと協力して葡萄を栽培する一方、収穫から醸造、また、ボトリングについては、独自のスタイルに仕上げることができるというものです。このようなブランド作りの先駆けとしては、Patz & HallやOrin Swiftなどが挙げられます。
Wan Fiore Projectが現在リリース中のワインは、サンタリタヒルズのClos Pepe Vineyardのピノノワール品種を使用しています。サンタバーバラ・ダウンタウンから北西に車で1時間ほど進んだところに位置するサンタリタヒルズは、2001年にAVA(政府公認葡萄栽培エリア)の承認を得た、まだ新しいワイナリー群で、米国でも特に珍しい冷涼な地域で、優良なピノノワールやシャルドネの栽培に非常に適しているとされています。その中でも、数々の業界専門誌で高得点をマークしているカリスマ的存在とされるのが、この畑を所有するClos Pepeです。
試飲させて頂いたPinot Noir 2010は個性があるアロマとフレーバーで、凝縮された深みがかったガーネット色に紫のニュアンスが印象的でした。赤というよりはブルーベリーやボイズンベリーなどの黒の果実に、アメリカンチェリー、ドライローズ、リコライス、アジアンスパイスのアロマが広がり、豊かな酸とまだ若々しいタンニンが感じられます。サンタバーバラBBQとともに、またはデキャンタして単独でなど、様々なシーンで楽しむことができそうです。
生産は50ケースのみという、超ブティックサイズのこだわりワイン。現在、レストラン数件のワインリストへの記載が決定しておりますが、一般小売販売はUni Clubでのみ取り扱いを行っております。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。