Alice in WINEderland
Vol. 32 Kiler Grove Winegrowers
2013-05-28
先日開催されたSanta Clarita Wine Festで出会った一風変わったワイナリーKiler Grove。ソルト・レイクに位置するKiler Groveは、市場用のワイン生産を行うワイナリーとしてはユタ州初。キラーとも読めるやや強いイメージの名前と、葡萄の葉を羽に表現した可愛らしい天使のラベルとのコントラストが印象的。イベント会場では、ワインメーカーMichael Knight氏とお話する機会があり、葡萄の選別・ブレンドへのこだわりについて伺うことができた。ユタ州におけるワイン生産用の葡萄栽培は、まだ限定的であるため、多くの葡萄はパソロブレスの畑のものを使用しているとのこと。近年人気が高まりつつある南仏ローヌやイタリアの品種を多く取り入れており、その繊細なワインスタイルから、様々なお食事との相性が期待できる。Trebbiano 2009 は、パソロブレスで栽培したイタリアの品種トレビアーノ100%の白ワインで、口に含むと一瞬甘みを感じるような感覚がありつつも、非常にフルーティーで、後味はドライでさっぱり。Zinergy 2009は、Knight氏曰く新感覚の赤ワインで、前例が無いと言っても過言では無い、ジンファンデル、ムールベドラ、グルナッシュというユニークなブレンドで構成されている。ジンファンデル主体のワインとしては珍しく、軽めのタッチで酸味が豊か。また、Interpretation 2010は、南仏2品種とカリフォルニアらしいプティ・シラーをブレンドしたワインで、名前の通り、南仏の空気をカリフォルニア風に「意訳・アレンジ」したスタイルに仕上げているとのこと。伝統とモダンが共存するこのワインはとてもユニークで、また、ブラインドテイスティングでは非常に分析が難しいことから、良い意味で、ソムリエ泣かせのワインと言える。現在のところ、カリフォルニア州におけるワイン販売は一般に開始されていないが、今後の展開がとても楽しみなワイナリーである。 (ウェブサイト:http://kilergrovewines.com/)
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。