現代社会ド突き通信
Vol.6 99%人のウオール・ストリート占領 (4)
2013-05-29
選挙で誰が大統領になるかわからないが、今のライアン共和党副大統領候補が「弱者は死んでもいい」と悪名高いニクソン大統領でさえ口にしなかった冷血極まりない公言をしたのにショックを受けた。国の借金が増えるから省きたいと言っている。六十五歳以上の人に政府が保証している健康保険、メディケアと障害者や極貧者のためのメディケイドのことだ。
この国では、市民でなくても年金(ソシャルセキュリティ)とメディケアの積み立てとして、給料から毎月払い、雇用主も雇用人と同額を払い込んでくれている。
メディケアは医療費や入院代などの80%を払ってくれる。残り20%を第二の保険として、個人で払い込んでいる私立の保険会社が払うが、全部ではない。医療費がべらぼうに高騰した今は高齢者はメディケアがないと経って行かない。薬代も半分以上払ってくれる。
七〇年代から九〇年代まで電気、水道、食料、必需品などが値上がりするなんて考えてもいなかった。アスピリンが十五年前は一ドル以下だったのが、今は同じものが十ドルもしている。
メディケアに大量の国の資金が要ると共和党が言っているが、ブッシュの二〇〇一年から、医療費、薬品、私立の保険料(第二の保険として必要)がこれらの企業の利益を上げるために制限無く上がった。だからメディケアの負担が多くなっているのだ。この企業のロビストが政治家に金をばら撒いているので政治家は文句を言わない。昔の日本のように、医療費・薬代に上限を付けると、国の負担が少なくなる。
メディケイドだが、日本の友達がふと言った。「よっぽど、お宅はお金があるのでしょうね。脳障害の息子さんの施設も大変やし、普通やったらやっていかれへんわ」。「私達、結婚したときは千ドルずつ持っていただけ。物書きと絵描きではねえ。脳障害の息子の施設には州政府が資金を払ってくれてます。普通児なら十八歳になったらアルバイトでもするでしょ。障害児は一生世話人がいるのよ。親が年寄るとこの大人の子の生活費も出せないしね。だから政府が生活費やメディケイドを出してくれるの。世話をする人達を私立の施設が雇うけれど、州政府負担なの。これがなく同居すると一家全滅になるからよ」と、私。障害者の家庭の生活のことを何も知らないのに驚いたことがある。 (つづく)
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。