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コラム

現代社会ド突き通信
Vol.10 アメリカに五十年住んで観察した 今回の大統領選挙とその後

2013-05-29

 アメリカで初めてアフリカ系の大統領が四年前に選ばれた時は、人種の偏見を克服した、これに見習わねばならないと世界中が尊敬の念を持って眺めた。アメリカ人自身も共和党の右派を除いては誇りを持っていた。リベラルなテレビの解説者やCM出演者に多くのアフリカ系が登場するようになった。
 だが、アメリカ人の珍しもん好きで一回はアフリカ系を選んだが、この次はどうかと疑っていた人も多かったが、市民はオバマを選んだ。アメリカに批判的な私もアメリカを見直した。少なくとも半分以上はレイシストではないと思った。生き抜くためには白人であろうと黒人であろうと、比較的理性で物を判断できるだろう人を選んだのだ(アメリカ人は自分で独立して考えるように教育されている)。そのために人々は四、五時間も並んで投票した。共和党の知事や司法長官のいる州、殊にフロリダ州は、毎回少数民族(民主党支持が多い)に投票させないように身分証明書をみせてもこれは正当なものではないとか難癖を付けるという。二千年のブッシュとゴアの時を皆覚えているだろう。今度は九時間も外で列に並んで待たされた人もいたという。主に少数民族の人だ。誰も前のように途中で帰ってしまわなかった。それほどオバマに勝って貰いたかったのだ。
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 二〇〇八年に大きなチェンジをするとオバマは誓ったが、大して出来なかった。殊にウオール街に関しては、ブッシュの時のゴールドマン・サックス出の財政係がそのまま居座り、規制を厳しくしなかったので99%の人が落胆したのだった。だから、オキュパイ・ウオール・ストリートの運動が起ったのである。
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 今ほど資本主義が腐ったのを見たことが無い。人間がこれほど強欲で他の人に同情もないのを見たことが無い。人間が機械で振り回されるとこうなるのか? 実際の人の顔がみえないとこうなるのか?
 民主主義と資本主義は並行して上手く行くものだと私が一九六〇年にアメリカに来た時には感心したものだった。当時共和党のアイゼンハワー大統領が富裕階級に92%の税金を掛けていたときで、新参の私でさえ社会が潤っていたのを感じたくらいである。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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