現代社会ド突き通信
Vol.12 アメリカに五十年住んで観察した 今回の大統領選挙とその後
2013-05-29
ハリケーン・サンデイで東部が大変な被害を蒙ったとき、ブッシュと違って、オバマは直ちにニュージャージー州知事(共和党)の要請に応じて駆けつけ、FEMA(連邦緊急事態管理局)に命令して援助の体制を敷いた。州兵や海軍の軍艦も提供した。
一方、ロムニーは被害地に見舞いにも行かず、オハイオの辺りで、テレビカメラを前に援助物資を運ぶ映像を映させた。そこに、リポーターが五,六人マイクを突きつけて「貴方が大統領になったらFEMAを解体すると言っていますが、今はどうなんですか?」と質問した。
彼は無言を通した。こういう映像も彼の敗北に大いに影響したと思う。
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ハリケーンの直後発行の、ニューヨーク市市長ブルンバーグが始めた「ビジネス・ウィーク」誌の表紙に大きく「It’s global warming, stupid!」と出ていた。テレビや新聞にその表紙の写真が出た。
ハリケーンの多発は地球温暖化が原因と言われている。あの表紙はCO2削減に賛成しない共和党支持者(キリスト教原理主義者が多い)にも打撃となったのではないだろうか?
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オバマが大統領一期目に余りチェンジができなかったのは、議会では共和党が多数党で、殊に共和党右派が以前より右になり、オバマの提案がいつも否定されていたからでもある。彼等はアフリカ系の大統領を見下していて、一期だけの大統領にすると息巻いていた。
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ブッシュ政権による金持ちの税金削減や、二つの戦争、銀行の規制緩和で経済不況が起ったのに、共和党の人々はオバマのせいにする。
恰も日本で自民党の幹部が甘い汁を吸って建てた原発の惨事を、民主党が後始末できないと責めるのと同じで、人々の健忘症を当てにしてなんの良心の呵責も無い。
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ジョンソン大統領は一期目で少数民族優遇措置を議会で通した。彼は議員を十年以上もし、多数党の院内総務をしていたので、議員達をよく知っていたという利点があった。
オバマは四年議員をしただけだった。ジョンソンは南部の親分肌で、彼に肩を抱えられ説き伏せられるとイエスと言わざるを得ない。オバマはあーいうことはまだできなかった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。