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コラム

キム・ホンソンの三味一体
Vol.21 より大きな善のための犠牲

2013-05-30

 メモリアルデーを間近にして、生前仲良くしてくださった方々のことを思い出します。その中でも、とある高齢者アパートで知り合った日本人のTさんは、日系と韓国系の住民がお互いを尊重して仲良く暮らせるようにと行なったさまざまな活動のために、誰よりも一生懸命に奉仕してくださっていました。

 そんないつも元気で明るいTさんでしたが、実は日韓友好の活動のために大変な気苦労をしたことがあったと告白されたことがあります。同じアパートに彼女の活動を面白く思わない日本人住人のグループがいて、「そのうち皆から(日本人)村八分にされるわよ」などと言われ、もうやめるべきかと怯えて悩んでいたそうです。そんなある日、サンタモニカに住む孫から彼女に電話がありました。おばあちゃんが日系と韓国系住民の友好のために頑張っていることが書かれた新聞記事を読んで、学校のプロジェクトとしてその活躍ぶりをクラスでプレゼンしたというのです。
 みんなが「クールなおばあちゃんだ、すごいね。」と褒めてくれて、特に今まで話したことのなかった韓国系の生徒が話しかけてくれるようになったということでした。「バーバありがとう、これからもがんばってね」と孫の嬉しそうな声を聞きながら、彼女は自分の活動が間違っていなかったと確信できたそうです。それからは心のぶれがなくなり、また頑張ろうと思えるようになったということでした。

 Tさんがガンで亡くなって、ちょうど2年が経とうとしています。メモリアルデーは戦争で犠牲になった兵士を記念する日ですが、広義に捉えて“より大きな善のために犠牲を払ったすべての人々”を記念する日だとも言えるのではないでしょうか。Tさんのような、恐れずに頑張った日系や韓国系の住民の努力や犠牲があったからこそ、現在のような和気藹々とした雰囲気がそのアパートに作られたのだと思います。やはり犠牲があって、はじめて成し遂げられることがあるのだと実感しました。

 昨日、真夜中の2時頃「おねえちゃん、おねえちゃん」という訳の分からない寝言から始まり、急遽目を覚まして「今からデイケアに行く」と言って聞かない2歳と10ヶ月の娘のために、夫婦とも全く寝た気のしない朝を迎えました。自分でもちょっと「器が小さいのかも」と思うのですが、いつか育児のために払って来たさまざまな犠牲を、娘に一つ一つ語ってやろうと真剣に考えている今日この頃であります。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

「このコラムへの感想や質問はこちらへ → khs1126@gmail.com
礼拝:日曜日午前10時(ハンティントンビーチ)、日曜日午後2時(トーランス)
お問い合わせ:携帯 (310) 339-9635」




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