後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第226回 川柳にみる〝夫婦″の事情
2013-06-04
「いい夫婦今じゃどうでもいい夫婦」。
第二六回サラリーマン川柳コンテストでトップをとった作品です。
こんなダジャレはいけません。その審眼を疑ってしまいます。
むしろ四位の「風呂にいたムカデ叩けばツケマツゲ」、六位の「スッピンでプールに入り子が迷子」のほうが素直に笑えてどれだけいいか。
「『お疲れ様』妻の代わりにナビが言う」。
会社でどつかれ家で愚痴られ・・。夫はとわに孤独の身分、やさしい言葉が一番の救いです。
パパどうしたの。子供の目にもパパは悲劇の主人公。
「父悲し寝るためだけの建てた家」(八回)、「マイホーム建てたパパだけ部屋がない」(一一回)。
一戸建ては自分の城、日本男児の夢の実現。
ですが、「一戸建て手が出る土地は熊が出る」(一九回)。このやるせなさ、この無念、笑い飛ばすしかありません。
サラリーマン夫は夫婦関係、自分の立ち位置の低下に悩んでいます。
妻の夫に対する期待度はゼロ、能力判定も中の下で、うだつの上がらない男と映っています。
会社で嫌なことあれば酒に走ってウップン晴らし。酔いつぶれてくだを蒔く夫。「ああウットウしい」妻の目も自然と上から目線。
そのせいか「まだ寝てる帰ってみればもう寝てる」(五回)。
かつて可愛かったあの妻がいつの間にか赤鬼になり、今や女房天下の時世。「寒いよねママ目で合図動くパパ」(一八回)。
自分の汗で建てた家、妻を裏切ることなど何一つしていない。なのに夫の居場所のない家庭。「領土権妻はリビング俺トイレ」(二四回)。
ぼくは自転車で学校へ、パパは満員電車で会社通い。ママはPTAと社交で「超多忙」。「ぼく学校パパは会社でママゴルフ」(一四回)。
年とともにいよいよ狭まる夫の生き路。「くしゃみまで妻に遠慮の定年後」(二二回)。
だけどあなたに足りない思いが一つ。それは相手への感謝。伝えたい感謝の気持ち。
「寝顔見ていつも言えないありがとう」(二四回)。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。