今月の庭仕事
Lesson 93
2013-06-04
前回は、夏の野菜の御三家、トマト、キューリ、ナスを植える時の違いを書きました。今回は、追肥(野菜の生育途中で施す肥料)についてです。基本的に基肥は野菜の最低限の栄養分をその生育期間中に与えるものです。しかし、栄養分は、雨や潅水で流れたり、窒素分などの空中への発散、野菜自身の消費で少なくなったりするので補給する必要があります。その他に、植物体そのものが大きくなったり、実が大きくなる時分に栄養分を多く必要とするので施肥します。
トマトですが、肥料過多に対して敏感なので注意が必要です。その症状はトマトの幹が太くなりすぎたり、葉が厚く曲がったり、花房(花々のついてる小さな枝)の先に葉の構造のものが付いたり、花房と花房の間が普通は葉が3枚くらいですが多くなったり、実がならなくなったり少なくなったりといろいろと大変です。早く植えたトマトについては、一番花の頃はまだ気温が低かったり、受粉に必要な昆虫類が少なかったりという理由で実がならない場合もあるので、そこは見極めてください。
トマトはカルシウム不足で尻腐れ病になります。その原因は潅水の頻度が多かったり、水の量を増やすと水溶性のカルシウムが流失するからです。また、土が極度に乾燥すると、普通は水に溶けて吸収されるカルシウムがなくなります。この現象は鉢植えの場合によく見られるので、気をつけましょう。鉢植えでは鉢の横に何か置いて、鉢の側面が暑くなるのをふせぎましょう。これはキューリ、ナスでも実行してください。
次にキューリですが、実が成り始める頃に追肥を始め、収穫の終わる頃までやるのは他の野菜と同じです。キューリは水と肥料不足に敏感で、これらが一定して充分に与えられないと実が変形したりします。根が浅いので、風の吹く暑い時は特に注意が必要です。わらや、大きめの落ち葉などで土を覆ってやると土からの水分の損失が少なくなり、また土の温度上昇をふせぐ効果もあります。
ナスはトマトやキューリと比べて一番肥料分を多く必要としますが、肥料分が少ないと、普通の茎や葉の紫色のものでは濃い紫色にならず、花の中のめしべがおしべより短くなるのですぐわかります。めしべがおしべより短い状態では実も良くつきません。前にも書いた通り、植え穴も大きく基肥も充分やり追肥をこまめにやることで解決できます。暖かい時期なので水も充分やると良く育ちます。御三家の追肥を始めたら、2週間に1回くらいの割合で軽くやりましょう。次回は生育期間中の作業についてです。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。野菜セミナー講師。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。