後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第228回誰の責任か、飛ぶボール騒ぎ
2013-06-19
統一球を飛びやすいように変えながら公表していなかった問題で、日本野球機構の加藤良三コミッショナーが陳謝しつつ「自分は知らなかった」と弁明しています。
最高責任者だけど、「知らなかったのだから自分に責任はない」という理屈です。
事務局に責任を押し付け自分だけは「知らないこと」と言い募り、辞める素振りもありません。
日本のトップは常に神輿に担がれる役柄で、権限の大半が事務局にあるのは周知の事実。
その典型が大臣を神輿に担ぐ官僚組織(政府の事務局です)で、民間会社も右へ倣えで社長を神輿に担ぐミニ官僚組織です。
日本野球機構の事務局も例外ではありません。わがままなオーナー会議の意向に沿って根回し、妥協に励みます。
よからぬ話は事務局内にとめ置き、コミッショナーにいわないことが慣例で、負けいくさを天皇の耳に入れなかった旧軍官僚の体質と同じです。
しかし責任の所在は依然、曖昧です。
飛ぶボールを採用したのは事務局の意向だとしても、ボールに書かれた「加藤良三」のサインの意味をどう解釈したらよいのでしょう。
米大リーグの統一球にもバド・セリグ・コミッショナーのサインが入っています。
セリグ氏は神輿の行く手を指示する人で、加藤氏は言われるまま神輿に乗る人です。セリグ氏は失政で職を去る人ですが、加藤氏はすべて事務局のせいにします。
加藤氏は大リーグに準じたサインのボール上に、重い責任が刻まれているとは夢にも思わないタイプです。
コミッショナーを天下りで射止めた人で、米国大使まで務めた人なのに無責任極まりません。
専門家によると、飛ぶボールを採用した今年の本塁打は前年の八八一本を四百本以上、上回るそうです。
飛ぶボールで打者はホクホク顔ですが、打たれる投手はたまったものではありません。
プロ野球選手の「知る権利」を踏みにじった行為の責任は即刻、コミッショナーがとらなければなりません。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。