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コラム

今月の庭仕事
Lesson95

2013-07-16

 今回は、皆さんがあまり気に留めないであろう「野菜つくりの水」についてお話します。水のやり方、水の動き、水の働きについてです。
 私達が何かを食べる時、水も一緒に取ります。一緒に飲むお酒も水がたくさん入っているし、果物などにも水分があります。それと同じように、植物も水と一緒に周り(普通は土です)の養分を根から吸収します。他の吸収方法もありますが、ほとんどが根からです。
 人間は、養分を小腸から体内に吸収します。植物では、肥料分として栄養が含まれた水が葉に運ばれます。そして、光合成という経過をへて、植物自体の栄養分の形(炭水化物、たんぱく質、油脂など)になって、さまざまな部位に運ばれます。ですから、野菜に水をあげる時は、地中の肥料分を溶かしながら、栄養分を運んでいると理解してください。

 では、どのように水をあげたら一番良いのでしょうか。まず根のある所に水が届かなければ意味がありません。しかし、散水した水がなくなった時には、周りからの補給が必要になります。これはいわゆる毛細管現象(微細な土の隙間をぬって、水が移ってくる自然現象)の働きで補われます。
 ホースを地面において、水を流すとよくない点があります。一つに、野菜が植えられている場所が水平(平たいという意味ではなくて)でないと、水が低い方に流れて無駄になる量も多く、野菜のある場所に一様に広がってくれません。その上、土中の細菌による連作障害の菌類を運び、伝染する結果にもなりかねません。
 一番良いのは、あげた水が横に流れず、下に浸透する土壌に野菜を植えることです。そのためには、やはり水はけの良い土で栽培すること、水やりも小さな穴の開いたホースなどを使い、柔らかくあげることです。

 最後に水やりの時間についてです。「水をあげる」ことは「地面を冷やす」ことになるので、春先は特に気配りが必要です。お日さまが出た後の午前中にやると、夜になるまでには地温は回復するので、堆肥などを分解して、肥料分をひきだす微生物の活動をあまり邪魔せずにすみます。地温が低いと一般の肥料の分解も、暖かい時よりスローです。夏の暑い時は夕方でもかまいませんが、暑い時間は避けましょう。

■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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