Alice in WINEderland
Vol.39 Dancing Hare Vineyards
2013-07-24
ワインコレクターの方から、今年最も注目しているワイナリーの1つと教えて頂いたDancing Hare Vineyards。調べてみると、ナパのハウエル・マウンテンに位置する僅か5エーカーの小さなワイナリー。見事に剪定された美しい葡萄畑は、関係者の間で「bonsai level precision」と囁かれているとのこと。
3匹(3羽)の躍る兎がデザインされたフラッグシップのDancing HareとセカンドワインMad Hatterの2種類をリリースしている。白兎にマッドハッターと、いかにもアリス・テーマが見え隠れするこのワイナリーに思わず興味津々。3匹の兎は、ワイン界の夢の共演、ナパの天才醸造家として名高いAndy Erickson氏とDavid Abreu氏、そして世界的なワインコンサルタントMichel Rolland氏を描いたものと言われている。
Erickson氏とAbreau氏は、ナパワインの最高峰であるScreaming EagleやHarlan Estate の醸造に携わっていたことでも知られている。2004年にワインの公式リリースを行った直後から、業界有力メディア各方面で、次世代カルトワイン間違いなしと高評価を受けている。
その年の気候、土壌、葡萄の成長の状況を把握した上で最高のものを生産する、ということを目標としていることから、ワインのスタイルを固定せず、また、葡萄のブレンドの割合も毎年のように変化をつけている。予測不可能な状況下に存在するアート感覚、そして奥深さを「不思議の国」コンセプトにかけているのだそうだ。
例えば、先日ようやく入手したMad Hatterについて調べてみると、2008年はカベルネ・ソーヴィニョンが主体(60%)、2009年はメルローが主体(59%)、そして最新リリースの2010年は再びカベルネ・ソーヴィニョンが主体(82%)と毎年大幅に異なることが分かる。
試飲した2008年ヴィンテージは、ブラックベリー、ブラックカラント、チェリーにハーブ、そして蜂蜜を思わせる甘いアロマで、口に含むと豊かな果実感の他、エキゾチックなスパイスと葉巻のようなスモーキーさ、そして土壌からくるキシっとしたミネラルが感じられた。他のヴィンテージも非常に気になってしまう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。