後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第233回 日本の自由化が進まない理由
2013-07-24
日本の農水省と経産省はとわにライバルで、農水省は農業を、経産省は工業を守る立場です。
動力源の石油・ガスの一○○%近くを外国に頼り、食料の六一%も外国依存とあって、国内総生産で世界三位と胸を張っても、実態は砂上の楼閣に過ぎません。
石油の値上げに一喜一憂するのは毎度のことで、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に加われば農業は全滅する」と農水省と二百六十万農家は反対します。
外国からの原料で高度の工業製品を造り、それを外国に売って繁栄してきた貿易立国、それが日本です。
しかし農水省は「農業を犠牲にしての繁栄だ」と経産省を責め立てます。
過去に経産省、農水省を担当、取材を重ねた筆者には農水省の施策は愚作に思えました。
農民が作った米を税金で高く買い上げ農民を保護し、高い米を一般国民に買わせます。一方で、七七八%(従量税)もの高い関税を課して安い外米の流入を防ぎます。
国際価格の数倍の米を国民に強いるだけだから、その工夫の無さにはあきれます。
日本の面積は三七万七九○○平方㌔で、本州など大小六千八百五十二の島からなっています。
国土の三分の二は山岳地帯で、森林六六%のほか農地一三%、宅地五%、河川・水路四%、道路三%、原野一%、その他八%となっています。
国土の約八割(森林と農地)が農水省の縄張りで、森林・農地所有者の生活基盤を農水省が握り、保護している図です。
私たちサラリーマンが農地を買いたいといっても、買えない仕組みになっています。
農地法三条二項で、農業経験のない者に農地を売ってはいけないことになっているのです。
農水省は国民に高い米を買わせ、農地の売買を禁止し、安い外米の輸入を阻止し、工業側の経産省ばかりを責めるのです。TPP賛否論は農水省と経産省のせめぎあいでもあったのです。
瑞穂の国(日本の美称)を守護するだけの農水省が、日本の自由化を阻んでいるのです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。