後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第234回 世界に羽ばたく日本食文化
2013-07-31
日本人ほど食にうるさい人々がほかにいるでしょうか。テレビを観ます。雑誌を読みます。必ずグルメ情報であふれています。
ニュース、バラエテイー、ドキュメンタリー、旅行はいうに及ばず、サスペンスドラマにまで食の話題が入っています。
食べること以外、世間のことに何ら関心がないのでは、と思ってしまうほどです。
地元の食材にこだわる郷土愛も盛んです。
よその食材は「ダメ」といっているようなもので、他者排斥の伝統文化が根づいています。
身びいきは公平ではありません。どこの国で上空を仰いでも同じ「青空」なのに、「日本晴れ」といっているようなものです。
中国、フランス、トルコの料理は世界三大料理といわれています。洗練された宮廷料理の数々が世界の食通に認知されているからです。
ただしトルコ料理は幾分落ち目で、代わりに日本料理、イタリア料理、タイ料理、インド料理などの台頭が目立っています。
CNNの「世界のうまい料理ランキング五○」は残酷な現実で、トップ一○にトルコの名前はありません。
堂々の一位はタイのイスラム風マッサマンカレー。
二位にイタリアのナポリ風ピザ、三位にメキシコのチョコレート、四位に日本のすし、五位に中国の北京ダックがランクされています。
すしは「最も美しい食べ物。魚と米だけというシンプルさながら、絶妙に調和のとれた味わい。カップルにとって初デートにふさわしい」と評価されています。
東京湾の魚を使った江戸食文化の結晶、それが握りすしです。大江戸の前の海でとれた魚を使うから、「江戸前」です。
すしネタに鮮度の落ちたローカル魚を使うと食あたりにかかります。
鮮魚の「江戸前」は食あたりと無縁というPRの強調で、身びいきのみとも言い切れません。
京都大学は日本料理学科の開設を検討しています。政府はユネスコの無形文化財遺産に立候補、年末の登録発表を待っています。
日本食文化は世界に羽ばたこうとしています。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。