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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第238回 加藤登紀子の歌は一心の祈り

2013-08-27

 心のない歌声ほどつまらないものはありません。雑音といっていいかもしれません。
 逆に心ある歌声ほど胸に響くものはありません。あるときは癒しを、あるときは慰めを、幸せを与えてくれます。
 一昨年、九十三歳で亡くなったシャンソン歌手のコラ・ヴォケールはイブ・モンタンと、「枯れ葉」を歌わせたら天下一品といわれました。
 
 彼女の歌う「さくらんぼの実る頃」が好きです。「枯れ葉」よりモンマルトルの丘」より好きです。
 印象派の巨匠ルノアールの息子、ジャン・ルノアール監督が映画「フレンチ・カンカン」(一九五五年)のために作った曲です。
 その歌声はつぶやきです。心の高みがじーんと伝わってきます。歌というより祈りです。
 彼女に比すべき日本人歌手に加藤登紀子がいます。八十ものアルバムを出しています。
 その中の一つ「ロシアのすたるじい」(一九七一年)には「カチューシャ」、「ともしび」、「モスクワ郊外の夕べ」、「赤いサラファン」など日本人の心に灯をともし続けるロシア民謡の数々が収められています。
 宮崎駿監督の「紅の豚」(一九九二年)に声優として出演し、主題歌「さくらんぼの実る頃」を歌っています。
 フランス人の書き込みに「この歌のいろんなバージョンを聴いたが、登紀子の歌声が一番心に響いた」とあります。
 「ロシアのすたるじい」にも慰められますが、彼女の「さくらんぼの実る頃」には、この耳を疑います。
 本家のヴォケールをも凌ぐ一心の祈りです。
 
 学生運動の激しかった七○年代、獄中の学生・藤本敏夫と結婚し獄中の夫を思って作詞作曲したのがあの「ひとり寝の子守歌」。
 〝ひとりで寝るときはよーお、ひざっ小僧が寒かろう。おなごを抱くようにあたためておやりよ″
 学芸会レベルの少女グループソングに心の凍えるきのうきょう。
 あなたのひざっ小僧をあたためてくれる心の歌声、それが加藤登紀子のアルトです。
 
 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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