キム・ホンソンの三味一体
Vol.24 再会
2013-08-29
榎本恵先生に再会しました。榎本恵牧師は、作家・三浦綾子さんの著書「ちいろば先生物語」で日本中に知られた榎本保郎牧師のご子息で、私が日本の高校に通っていた頃にたいへんお世話になった良きメンターでもあります。当時私は親元を離れ、実質下宿生のような生活をしていました。
放課後は決まって(障害者向け職業訓練作業所を兼ねた)榎本先生のお宅にお邪魔してご飯を食べさせてもらい、空君(先生のお子さん)と遊び、先生のお話を聞く毎日でした。特に先生のお話が大好きだったのですが、ただお話が面白かっただけでなく、それまでは知らなかったことを学ぶ機会だったからだと思います。
それまでの韓国での生活では、学校でも、メディアでも、身近な大人達の話でさえも、国として如何に経済発展し世界に進出していけるかというような経済至上主義的な話ばかりだったような気がします。
しかし、榎本先生を通して聞いたのは全く違ったものでした。「社会的な弱者を切り捨てない社会にするためには一人一人がどう生きるべきか、本当は多民族国家である日本をまず知ることが大事だ」。聞いているうちに、自然と心が解放されて希望に満たされるようなお話でした。
そんな榎本先生が訪米し、2週間ほど先生の講演会や教会でのお説教等のご用に同行させていただけたことは、私にとって初心を思い起こす良い機会であり、ご褒美でもありました。特にサンホゼでのリトリートに参加するため車を走らせながら、昔話に花を咲かせている間に道を間違えて車では通れない山道に迷い込んでしまったこと、おしゃべりが楽しくて二人して涙が出るほど笑ったことなどは、新しい思い出となりました。
多忙なスケジュールの合間をぬって我が家で家族と共に食事をして、娘とも遊んでいただきました。先生が日本にお帰りになってまだ1週間も経ちませんが、すでに家族一同先生との再会を願ってやみません。
日々の生活の中で私達は常に別れを経験し、その後の再会を願い続けているものではないでしょうか。毎朝目を覚ました時、仕事を終えて帰宅した時、そこにある愛する人々との再会を日常の奇跡として感謝におぼえたいと思います。
昨日、今月でちょうど3歳と1ヶ月になる娘が、仕事を終えて帰って来た私の車の音を聞いて「パパとめぐみせんせい かえってきたー」と言ったそうです。早速、先生にテキストメッセージで伝えました。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。