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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第239回 肉食・肥満と草食・細身の世界

2013-09-03

 灼熱のサウジで、とんだ事件が起きました。
 自力で動けなくなった超肥満の男性が急遽、王様の命で首都リヤドの病院に搬送されたのです。
 ハリド・シャエリさんは体重六一○㌔。私(七六㌔)の八倍の重さです。
 ベッドに根の生えたシャエリさん、大型車までフォークリフトで運ばれたそうです。
 中東の肥満化は特に異常で、最も深刻なクウエートで人口の四二・八%が極度の肥満です。
 サウジの肥満人口はクウエートに次ぐ三五・ニ%で、生活習慣病が主因といわれています。
 あの凛々しい中肉長身の〝シンドバッド〟はどこへいったのでしょう。
 
 肥満化は中東だけではありません。
 経済協力開発機構(OECD、先進三十四ヵ国が経済全般を協議する国際機関)の調べは先進国の肥満の深刻化を示しています。
 体重と身長の割合をみるWHOの体格指数(BMI)を使い、BMIが三○を超えれば「肥満」、二五を超えれば「太り気味」と定義、肥満度を決めています。
 昨年三月の同機構調べによると、肥満度一位になったのは米国。「肥満」が三三・八%、「太り気味」が人口の六八%。
 以下二位メキシコ(肥満三三%、太り気味六五・一%)、三位チリ(同二五・一%、同六四・五%)の順で、一九位のドイツまでが、「太り気味」が人口の五○%を超えています。
 サウジとクウエートの肥満化はOECD加盟国のどこより進んでいます。
 
 日本人の肥満度はOECD加盟三十四ヵ国中三四位。「肥満」は人口の三・九%、「太り気味」は二五・一%で、加盟国随一の細身です。
 スレンダーな肢体は日本女性の憧れで、モデルを目指す少女のように食事制限を競っています。
 肉食系と草食系に区分けされる流行りの中で、男性までも女性好みの草食系を目指しています。
 小錦クラスが行き交う往来は漫画の世界です。しかし肉食世界における草食系の頼りなさは、漫画のように笑ってばかりもおれません。
 
 
 
 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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