Alice in WINEderland
Vol. 43 Darioush
2013-09-18
記事に書かせて頂くのは、実はこれが初めて。Darioushワインとの出会いは、東京・広尾にある名店ワインビストロGrape Choiceでのこと。オーパスワンを超えるワインになるかもしれないね、という話がとても印象的だった。1970年の後半に、イランから米国に移住してきたDarioush Khaledi氏は、ロサンゼルスでスーパーマーケットの経営に成功し、ワイン好きが高じて、1997年にナパの一等地を購入。モダンなボルドーをテーマとしたユニークなスタイルで、一躍業界の注目の的となった。
海外での転職を夢見ていた東京OL時代の2009年、Darioushワインと再会。それは、虎ノ門のデザイナーズレストランELEMENTSで開催された、映画サイドウェイズ公開記念ワインメーカーディナーだった。この映画は、2004年に米国で公開されたサンタバーバラを舞台とするワイン映画の日本リメイク版で、オリジナルの映画では、男性2人が中心で話が進んでいるが、日本版では、ナパに舞台を移し、鈴木京香演じる麻有子という女性が、人生をリセットして、ナパでワインの勉強をしているという話にもスポットライトが当たっている。重要なシーンで取り上げられていたのが、Dariosuh であった。状況は全く違いながら、どことなく親近感が沸く内容と、美味しいお料理とワインの素敵なペアリングの数々に、漠然とながら「いつかワインの仕事がしたい」と思うようになった。
東京を飛び出し、ロサンゼルスでワインコンサルティング業を始めた2010年の秋、念願のワイナリー訪問を果たした。テイスティングルームは、イタリアから直輸入したというこだわりの材料で建築された、ペルシャ様式の宮殿調。アメリカンドリームが詰まった美しい施設に、不思議な感動を覚えたことが記憶に新しい。それからというもの、大事な節目には必ずこのDarioushワインを飲んでいる気がする。5年間のワイン人生のハイライトとなるワインを、20代最後となるこの記事で振り返れたことに、何だかしんみりと嬉しくなってみた。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。