今月の庭仕事
Lesson100
2013-09-24
今回は、野菜の「実」について考えてみましょう。普通に言われるトマトやカボチャなど“目に直接見える実”だけではなくて、植物学的には「実」ではないけれど繁殖的に同じ役割をするもので地下に育つじゃがいもやサツマイモなども含めます。
自然の状態で植物は、できるだけたくさんの実をつけて、できるだけ色々な方法で、できるだけ遠くに実や種を飛ばします。たんぽぽを例にみると、暖かい日に風にのせて遠くに、遠くに子孫の種を運ばせます。
葉ものの野菜でも収穫せずにおいたり、取り遅れたりすると一本の野菜に多くの花が咲き、遠くに、または周りに種を飛ばします。それらの種が発芽してりっぱな野菜になるのは確率としては低いのですが、“数打ちゃ鉄砲も当たる”式で芽が出てきます。
いい例として、しそやゴウヤが挙げられます。これらの野菜は、人が食するには固くなってしまうので早めに収穫します。私たちが日頃から食べているブロッコリーも、幼い花です。
トマトやナスなどの「実」も何もしないでおくと、たくさんの小さい実がなります。小さなものは食卓に出さないので、そのまま蔓に残り、後で地面に落ちます。そして、自然の状態が良ければ、温度が適当な時期に芽が出ます。特にチェリートマトなど自然に出てきたのをよくみかけます。 地下で成長して栄養分を貯え、次の年の基になるのが、じゃがいも、サツマイモ、里芋などです。いずれも冬の寒さや雨の対策をうまくすると芽が出てきます。じゃがいもと里芋を人間のほしいサイズに育てるには、成長している本数を減らすために芽をかきます。サツマイモは出てきた新しい茎を切って植えます。これをしないと、新しい芋は古い芋にのっかるかたちになるため、食用に適しません。
いい野菜を作るには、葉もの野菜、実もの野菜、根菜などについて、育てる適当な時期を知ることが非常に大事です。これを知って育てると肥料や水などが効果的に働きます。適当な湿度のある土地で、自然に発芽してくる野菜が、時期的には正解です。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。