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コラム

現代社会ド突き通信
Vol.25 ヒロシマ50年目のアメリカの変化

2013-11-01

 この原稿は1995年のヒロシマ50年目のときに書いたもので、拙著「なんや、これ?アメリカと日本」に掲載されている。あの時のアメリカ・メデイアの態度になにか核をやめようという希望があったように思ったのだが、今はもっと悪くなっている。あの時のこのロサンゼルスのアメリカの雰囲気を読者にお知らせしたいと思ったので、この稿で取り上げてもらった。


 広島や長崎に落した爆弾は何であったかアメリカ人は知らされていなかった。私の夫によると、原子爆弾というだけであったという。
 それが、一年後にジョン・ハーシーが「Hirosima」という被爆者を追ったリポートをニューヨーカー誌に書いた。それまではジャップは動物みたいなものだと皆考えていたのがあのリポートで日本人も自分達と同じ人間であると知った。
 その同じ人間に非道な爆弾を自分の国が落し一年後でも未だ患っている人が多くいると知った時のショックは大変なもので、アメリカ中にセンセーションを起こしたと夫ジョシュ・グリーンフェルドは当時のことを話した。
 それで、1947年にハーヴァード大の総長で、毒ガスを発明した人で、原爆製造にも加わったコナントがスチムソンに原爆使用の正当性を書く必要があると説いた。 
 原爆投下をしない場合、11月予定の九州上陸は陸軍の見積では6万人の犠牲者を出すとなっていたのに、ハーシーのリポート以後、トルーマンは百万人にまで膨らませたのである。ステイムソン自身も原爆に反対をしたとハーパース誌に書いているが、実際は反対しなかったようである。  ABC・TVが最後に真珠湾攻撃の写真と広島の原爆投下後の写真を並べて見せたのは非常に効果があった。被害の規模が違うことは、一目瞭然で、愛国心や人種偏見なしに、真珠湾攻撃(sneak・attackとアメリカ人は呼ぶ)への復讐がこれだけも酷いのを正当だと思うかと暗示しているようであった。客観的に判断できる世代が増えていることを願ってやまない。
 ニューヨーカー誌に長い長い「広島からの手紙」を書いたマリ・セイルは“私達は広島に余りにも数多くの重荷を背負わせている。真珠湾から実のないナチとの同盟、非合理的な死に取り付かれた軍部の士官達、日本軍の一般市民に対する残虐行為、残酷そのものの戦争…そして、冷戦までも”そういう残酷な一連の鎖の一つに広島が存在しているとセイル氏は言っている。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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