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コラム

現代社会ド突き通信
Vol.26 ヒロシマ50年目のアメリカの変化

2013-11-15

 最後にドイツを除いてどこの国の高校も卒業までに近代史をみっちり終える学校は稀なのではないかと思い出したのである。私等は終戦直後で何も習わなかったが、息子や夫や、知っているアメリカ人に尋ねても最後は時間が足らなくて駆け足であったと言ったことを付け加えておく。  毎日新聞 に「米国で原爆投下の是非が討論され、被爆者会見で、原爆は全人類の将来の危機をもたらすという伝言を報道機関が伝えたことは進歩であったと言えるが、戦争は反戦の声を倫理観を消してしまうことを忘れてはならない。
 この原稿は1995年のヒロシマ50年目のときに書いたもので、拙著「なんや、これ?アメリカと日本」に掲載されている。あの時のアメリカ・メデイアの態度になにか核をやめようという希望があったように思ったのだが、今はもっと悪くなっている。あの時のこのロサンゼルスのアメリカの雰囲気を読者にお知らせしたいと思ったので、この稿で取り上げてもらった。


 今年のアメリカの報道機関の報道が50年昔に存在していれば、広島も長崎も無事であったかもしれないが、当時の人間の倫理観は新兵器に付いて行けなかったし、戦争は権威者が反戦の声を抹殺してしまうものなのだ」とあった。 
 随分前のことになるが、画廊のパーテイーで、作家スタイロンの夫人と話していた時に突然「私アムネステイー・インターナショナルの委員をしているのですが、その会議で会う日本人は、原爆投下のことになると、絶対アメリカが悪いと言って私の夫が助かった話なんかに耳を貸さないんですよ。彼は太平洋戦争の時、日本上陸に行く海兵隊の一人だったの。だから原爆で命拾いした一人なの」と彼女は私に言った。確かに彼女にとれば、夫は命拾いしたのであり、有名な本も書けたことになる。アメリカの戦中派は殆ど彼女のような考えである。広島や長崎の原爆で死んだ人の中にも良い本が書けたかもしれない人がいる筈であるとは考えない。だが戦争に行かされた人間は自分の命を守ることに夢中で人のことなど考えていられないのが普通ではないのだろうか。敵を百人殺そうと、味方の一人が助かる方に重きを置く。それが戦争である。だからアメリカは、クリントンも含めて、百万人の兵士の命が救われたと原爆投下を正当付けて来た。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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