今月の庭仕事
Lesson 105「続・野菜作りでの“深さ”について」
2013-12-18
前回の稿では、野菜作りでのいろいろな意味での深さについて書きましたが、今回も続きです。
少し肥料のやり方を考えてみましょう。大切なことは肥料の栄養分が、値の成長する近くにあるように施肥することで、元肥はその条件を満たしています。ただ深過ぎたり、濃度が強すぎるのは警戒しなければなりません。有機肥料(鶏ふんなど)適度のものなら問題ありませんが、まだ未熟だったり、たくさん入れ過ぎたりすると、発酵してガスが出たり熱が発生してかえって害を及ぼすこともあるので気をつけましょう。粘土の場合は少し浅く、砂地の場合は少し深くしましょう。
追肥の場合は、普通は土の表面に施肥して肥料分が流れたり、発散してしまわないように少し土寄せをします。こうすることで土の表面下に湿り気があり、少し温かい層ができて、そこに新しい根が入ってきます。結局のところ根が成長する条件―水分、適当な温度と湿度―がある状態を作り出していることにほかなりません。
液肥で追肥をする場合は、ひとりでに地中に入りますが、土の表面が乾燥していないことが非常に大事です。もし土の表面が白っぽくなるくらい乾燥してたら、液肥は土中に均等に入っていかず、ある一所に溜まって害を及ぼすこともあります。その他に根よリ離れたところに棒で穴を開けて薄い化成肥料を施す方法もあります。この時はたくさん入れ過ぎないように気をつけましょう。
次に、お日さまの強さについて考えてみましょう。日光が植物の葉に当たり、そこで光合成が行なわれてさまざまな養分が作られますが、日光の強度が強ければ強い程いいかと言うわけではありません。人間と同様に暑すぎると疲れて息をするのが精いっぱいの状態になります。ですから野菜を作る時もそれに合った状況―季節、種類、日光の強さ―で育成すれば少しの努力で良いものが出来るでしょう。
長らく私の拙文をお読みくださり、有難うございました。「理想の状態に持っていくにはどうすれば良いのか」と詮索しながらやれば、野菜作りも面白く、深くなっていくでしょう。では新しい年にまたお会いしましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。日系テレビNTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」でも講師を務めた経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。