今月の庭仕事
Lesson 112「追肥」という作業について
2014-04-02
野菜を作ると「追肥」という作業が必要になる場合が多いですね。なぜ必要なのか、いつ必要なのか、どのように行うかなど、「追肥」の基本的な理由付けを考えてみましょう。
そもそも「追肥」は、栄養分の補給が最大の目的です。普通に野菜を植えるときには、まず、その野菜の基礎的な全行程を支えるだけの栄養素を「基肥」として与えます。基肥だけで十分なものには、葉物野菜などの生育期間が短い野菜、肥料分、特に窒素分などを少ししか必要としない野菜などがあり、種類が限られています。
まず「追肥」の必要性をみてみましょう。生育期間の長い野菜の場合、基肥だけでは生育期間のすべてをまかないきれません。なぜかというと肥料分は少しずつ水に溶け野菜に吸収されます。水をかけると野菜の根がある範囲より遠くの方に流失したり、また窒素分などは空気中に発散してしまい、地中に固定された野菜には吸収されにくい状態になったりします。そこでなくなった肥料分を、正常な生育を保つために補う必要が出てきます。この作業が「追肥をする」ということです。
では、いつが適当な時期なのでしょうか。野菜の種類によって違いますが、一番基本的な考え方は、基肥、または、その前に与えた追肥などの効果が少し衰えたときが“適当な時期”になります。それに加えて、気象条件や人為的な部分も考慮されます。
これは肥料分の有無で追肥の時期が決まりますが、その他に野菜の生育段階で決めることも必要になります。例えば、果菜類で実が大きくなる時期や、らっきょうなどの株が“分けつ”する時期がこれにあたります。
これで追肥の必要性と時期の重要性はわかりましたね。では次にどのような方法で追肥をするかをみてみましょう。追肥はもともと肥料分の切れたときなど必要なときにやらなければならないので、すぐに効くことが条件です。そこで、液肥を与えたり、または、施肥の直後に潅水する必要があります。堆肥や遅効性の肥料はむきません。とは言っても、肥料と堆肥を適当に混ぜてマルチの代わりに使う方法は、乾燥のひどい南カリフォルニアでは有効な手立てではあります。
重要なポイントは、追肥を野菜本体から離れてやるのが原則です。
以上の要素を考えながら追肥するときの参考にしてください。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。