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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第270回 日米間の商談、外交の風景

2014-04-16

商談で米会社を訪ねた日本人社長と一行のよくあるシーン。
 会議室に着座すると受け入れ側の米人社長が開口一番、コーヒーなどの飲み物を勧めます。
 一行の前のコーヒーポットとお湯のポットを指して「こちらがコーヒー、こちらが紅茶用のお湯」と説明します。
 すると突如、不思議なことが起こります。日本人社長の背後にいた部下(数人の場合もある)がサっと飛んできて全員に注いで回ります。
 米側は自分で注ぎ、次の人にポットを回すだけ。
 商談に入って英語の説明が続きます。社長以下誰ひとり英語を理解していないのに、しきりにうなずきます。
 通訳の説明を聞いて明るい顔で大きくうなずきます。
 「質問は?」と聞かれても笑ってうなずくだけ。
 では「署名しましょう」。するとこの日初めて日本人社長がはっきり意思表示をします。「日本に持ち帰って検討します」と。
 「あれだけうなずいていたのに何で?社長は全権委任の身分。何のためにここに来たのか」。
米側は時間の無駄を嘆くばかりです。
★ ★
 誤解の八割程度は文化の違いに起因するそうです。
 米国は個人主義だから社長といえども自らコーヒーを注ぐのは当たり前。車も自分で運転します。
 自らの意思で最終決断をするのが社長の役目。米国人はそう思っているから決断しない日本人社長の対応に憤慨します。
 元首相の中曽根さんはかつて日米の関係を「日米運命共同体」といって物議を醸しました。
 ポトマック・アソシエイツ社長のワッツさんは「集団主義は米国人にわかりにくい。別々の国である限り、国益に差が出てくるのは当たり前」と述べたそうです。
 違いがあって当たり前という感覚の米国と、違いのないことを強調しないと友好関係が築けないと思っている日本との違いです。
個人主義、平等主義で回る米国と集団主義、身分制を引きずる日本との違いが商談、外交にもそっくり反映されています。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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jjgoto@sbcglobal.net

後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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