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コラム

キム・ホンソンの三味一体
Vol33 母の日に思う

2014-05-29

 今年の母の日も、現在3歳と10ヶ月になる娘はプリスクールで作ったカーネーションをママに贈りました。2歳の時と比べてスキルアップしたようで、去年のものより大分立派なものでした。壁に飾って眺めていると、僕が大昔、小学生の時に作って母に贈った紙のカーネーションを思い出します。
 私が通った韓国の小学校では、毎年母の日が近づくと、美術の時間はカーネーション工作、音楽では「母の愛」という歌の合唱、さらに国語の時間には母の愛に関する作文と毎日が母の日尽くしとなります。

 小学校低学年では手作りの紙カーネーションでしたが、4年生になった辺りだったか、自分で何かプレゼントを買って母を喜ばせようと思いつきました。母の日の前日、学校が終ってすぐ町の雑貨屋に向かいました。ショーウィンドウには前々から目を付けていた可愛らしい天使の置物がまだ売られずにありました。こつこつ貯めたお小遣いでプレゼントを買って家に向かいながら「お母さんがどれだけ喜ぶだろうか」と胸をドキドキさせていました。

 母の日の朝、誇らしげに差し出した僕のプレゼントを手に取った母は、それはそれは喜んでくれました。しかし「次からは小遣いを全部使ってまでママにプレゼント買わなくていいのよ」とコメントすることも忘れませんでした。そしておもむろにお化粧台の引き出しを開けました。なんとそこには僕が小学校の低学年の時贈った紙カーネーションが入っていました。大事にとっておいてくれていたのです。「あの日は一日中これを胸につけて、会う人会う人に見せてあげたのよ」と嬉しそうに誇らしげに話す母親の表情を今もおぼえています。今考えるとこれ見よがしに「立派なプレゼントだろう」と誇らしげだった自分が恥ずかしくなります。

 今でも母の日になると、昔に戻ってママの子供になった幸せな思いに浸ることができます。人類にとって母の愛というのはそう言う意味で特別なのではないでしょうか。最近多くの方々にイクメン(育児をする父親)の目指すべき最終ゴールは何なのかと聞かれることがありますが、私はその都度「それはあくまでも母親に対する補助でありサポートに過ぎない事を受け入れる潔さだ」と答えます。例え仕事をやめて主夫になったとしても母親には取って代わることは出来ない、それは自分自身が母の愛以上の愛を受けた事がないからなのかも知れません。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

「このコラムへの感想や質問はこちらへ → khs1126@gmail.com
礼拝:日曜日午前10時(ハンティントンビーチ)、日曜日午後2時(トーランス)
お問い合わせ:携帯 (310) 339-9635」




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