Alice in WINEderland
vol.59 Sake and Crab
2014-05-29
5月15日、ビバリーヒルズ老舗ベトナムフュージョンのお店、クラスタシアンで、15名限定の特別な日本酒ディナーを開催。これまで、ワインディナーは数回開催してきたが、日本酒は初の試み。最近のLA業界では、和食のための日本酒だけでなく、新スタイルのワインとして扱うことで、様々なお料理とのペアリングに取り組むことがトレンドである。
この特別なイベントに、山口県から山縣本店、鳥取県から千代むすび酒造がゲストとして参加した。山縣本店は、山口県瀬戸内のブティックサイズの酒蔵で、伝統の技術を守りながら、モダンなスタイルを取り込んでいることから、日本酒初心者の方にもアプローチがしやすい優しい口当たりが特徴的である。
着席と同時に振る舞われた「かほり純米吟醸」は、ワインのリースリングを彷彿とさせる華やかなアロマで、素晴らしいアペリティフとして活躍した。また、和のリキュール、「みかんのかほり」をデザートのベトナム伝統のバナナフリッター・アラモードと合わせ、シトラスの爽やかなアクセントが夏らしさを演出した。
一方、千代むすびは、慶応元年に創業した老舗の酒蔵で、千代に八千代に契りを結ぶめでたい酒として「千代むすび」と命銘された。第1コースのタパス・サンプラーに合わせ、千代むすびの人気のラインアップ、「強力」の火入れ版と生の2種類の飲み比べを行い、ほぼ同じ素材でも製法の違いで、異なる味わいが愉しめるということに参加者も感銘を受けているようであった。
酒蔵のある鳥取県は、蟹料理が有名で、「千代むすび特別純米」は、クリーンな印象の中に、ふんわり広がる円やかさが特徴である。このスタイルは、蟹のたんぱく質と上手く絡み合い、上質なペアリングを構成することから、本イベントではクラスタシアンの看板料理、ローステッド・クラブと合わせ、非常に好評であった。千代むすび特別純米は、クラスタシアンで、バイ・ザ・グラスでも今後提供されることが決定している。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。