後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第294回 ジュルパ・オークとベニクラゲ
2014-10-01
福岡の叔母が九十九歳で亡くなったので、せめて百歳まで生きてほしかったと親戚一同、嘆いています。
生あるものは必ず死ぬ、昇った太陽は必ず沈むの譬え。この厳粛な事実を受け入れないわけにいきません。
現存している世界一長生きの動植物はいったい何だろうと調べていたら、なんと身近なところにありました。
ジュルパ・オークと呼ばれる杉科の樹木で、樹齢一万三千年以上。
リバーサイド・カウンテイーのジュルパ・ヒルズの藪中に自生していたので、地名を呼び名にしたそうです。
樹木の高さは二二・八六㍍で、一年にわずか○・一二七㌢しか成長しないといわれています。
研究チームのM・メイ博士によると、ジュルパ・オークの樹齢は少なくとも一万三千年で、一万五、六千年生き続けている可能性のほうが大きい、とのことです。
一万三千年前といえば、日本列島目がけてアイヌ民族が北方から移住し始めたころです。
これより少し前、バイカル湖周辺の黄色人種が樺太経由で北海道、東日本に細石刃文化をもって渡来してきます。
日本に二万人いるかいないかのこの時代に総勢一万人もの人々がドッと移住したから、大寒波か大飢饉かよほどのことがあったのでしょう。
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生あるものは必ず死ぬ、と冒頭で大見得を切りましたが、事実ではありませんでした。
不老不死の生き物がいました。体長四、五㍉のベニクラゲです。
二〇世紀末に発見された新型クラゲで、赤い消化器を持っています。
老衰で死ぬ寸前にポリープ(さなぎ)に変身し、そのなかでぐんぐん細胞を若返らせ、やがて生まれたばかりの姿に戻って再び成長を始めるのだそうです。
不老不死は人の見果てぬ夢。紀元前三世紀末、中国の独裁者・秦の始皇帝が徐福に命じ、不老不死の薬を世界に求めた壮大な旅は今に語り草です。
創造主が死を与えるのは人の幸せを願ってのこと。始皇帝やヒトラーに永久に生きられたら堪ったものではありません。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。