Alice in WINEderland
vol.64 Darius II
2014-09-17
以前にも記事に書かせて頂いたことがあるナパの有名ワイナリー、ダリオッシュ。ワインの勉強を始めるきっかけともなった、個人的に特別な思いがあるこのワイナリーに、先月再び訪れることができた。前回、2010年に訪問した際は、ワイン業界へのエントリーに向け、フリーランスの取材をしている頃だった。その数年後、今回は、当初から夢の職業であったソムリエとしてご招待して頂くこととなり、大きな感動を覚えるとともに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
ワイナリーに到着すると、ガイドのデールさんが迎え入れてくれた。彼女もまた、ダリオッシュ・ブランドに早くから魅了された一人で、その熱い思いをぶつけ、ワイナリー専属のガイドとなったとのこと。ダリオッシュさん本人が今も利用するという書斎に通して頂き、シャルドネを試飲しながら、ワイナリーの歴史について説明を受けた。ダリオッシュさんは、1970年の後半に、イランから米国に移住し、ロサンゼルスでスーパーマーケットの経営・展開に大きな成功を収める。その後、ワイン好きが高じて、1997年にナパの一等地を購入。モダンなボルドーをテーマとしたユニークなスタイルで、一躍業界のスターとなった。テイスティングルームは、イタリアから直輸入したというこだわりの材料で建築された、美しいペルシャ様式の宮殿調。収穫が近づく畑を見学した後、地下のセラールームの一部となっている特別室で、現在の最新ラインアップ、そして非常に貴重なダリウスIIの2010年ヴィンテージを試飲させて頂いた。
ダリウスIIはカベルネ・ソーヴィニョンを主体としたボルドーブレンドで、シグネチャー・シリーズのトップ・キュベという位置づけ。メンバーだけが購入権を有し、注目度が急上昇中のカルトワインである。毎年、その年のワインをイメージし、ボトルのエチケットデザインが変更され、芸術品としてのコレクターズ・アイテムとしても人気を集めている。進化を続けるダリオッシュ。これからも目が離せない。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。