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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第297回 日本人と日本食のLAの休日

2014-10-22

 瞬間風速七○㍍の台風が縦断する日本列島の騒ぎをよそに、LAは連日、紺碧の空。
 ハケで刷いたようなコバルトブルーに僅かの感動も覚えない十月十一日。共同貿易主催の『日本食祭』とオーロラ基金主催の『ツケメン・コンサート』に夫婦で出かけました。
 取引場所を提供する『日本食祭』に落合賢監督を誘いました。
 モントリオールの国際映画祭で最優秀作品賞に輝いた『太秦ライムライト』を監督、次代の黒澤明といわれる青年です。
 もう一人の同伴者は女優の伊藤歩さん。
 映画『スワロウテイル』で鮮烈デビュー、新人俳優賞、優秀助演女優賞を受賞、現在国際女優の道を模索しています。
 『ツケメン』は音楽性とレパートリーの広さで満場を魅了しました。
 ラ・カンパネラか何かの曲にヴィオッテイのバイオリン協奏曲の一部を挿入したハイセンスに未来を予感しました。
 タイリク、ケンタのバイオリン、スグルのピアノはまるで宙を行くがごとく、ある時は激しく、ある時はやさしく歌い上げました。
 さだまさしの息子タイリクは腕もさることながら高価な名器を使っているなと思わせました。
 息子らをイケメンとほめられたさだが『ツケメンだろう』と照れ隠しに言ったのがトリオ名の由来だそうです。
 会場で日本舞踊・名古屋西川流のカーク西川に会いました。
 アーカンソー大学を卒業後LAに移って以来の付き合いで、立ち居振る舞いに育ちのよさが匂っています。
 三世家元西川右近が先ほど引退し長男の千雅を四世家元に、カークを別格師範に指名、五世家元の継承を約束しました。
 カークは日米のハーフで、西川右近の長女まさ子とK・ディクソンの長男で二歳の『ひな菊会』で初舞台を踏みました。
 天保十二年(一八三七年)、五流の一つ西川宗家を分派した名古屋西川流は能、狂言の長所を取り入れた独特の芸風で特に知られています。
 日本の伝統文化に日米の血を受け継ぐカークが今後、いかなる新風を吹き込めるか見ものです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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