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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第298回 日本の政界は一寸先は闇

2014-10-29

 自民党の歴代副総裁は名文句を残しています。
 そこには、幾度となく政争をくぐり抜けた男の心境が刻まれています。
例えば緒方竹虎氏。
 朝日新聞出身の副総裁は『政治は妥協』と言い切りました。根っからの政党人、大野伴睦副総裁は『政治は足して二で割るもの』と喝破しました。
 頭を抱えながら川島正二郎副総裁は『政界は一寸先は闇』と吐きすてました。
 順風満帆の政権に突如、嵐が襲ってきます。降ってわいた閣僚のスキャンダル(金銭、女性、倫理問題)に巻き込まれるや否や、内閣は音をたてて崩れ落ちます。
★ ★
 将来の首相候補の一人、小渕優子経産相と松島みどり法相の二人が十月二十日にダブル辞任、女性五閣僚を誕生させた第二次安倍内閣を動揺させています。
 政治とカネ問題で引責辞任した小渕経産相に続き、選挙区内のウチワ配布で公選法違反が指摘された松島法相も野党攻勢に屈する形で辞表を出しました。
 敏感に反応したのは外国メデイア。
 ロイターが『女性両閣僚の辞任は第二次安倍内閣発足以来、最大の挫折』と報じました。
 英紙ザ・タイムズは『女性が政界、実業界に進出するための陣頭指揮をとっていた安倍首相にとって二重の痛手』と分析しました。
 中国・新華社通信は『女性閣僚が次々と安倍政権の〝地雷”になっている』と伝えました。
 女性閣僚二人が辞任したばかりか、残り高市総務相ら女性三閣僚が靖国神社を参拝し、内外の疑問と非難を引き起こしたとしています。
 首相の肝いりで起用した女性閣僚四人が第一次安倍内閣崩壊につながったあのドミノ辞任の悪夢を再び招きかねないとの声もあります。
 小渕、松島両相は『政治は妥協、足して二で割るもの』という政治の生体験を踏むいとまもなく、わずか一ヵ月半で閣外に散りました。
 安倍首相にとっても晴天の霹靂(へきれき)でした。
 首相の胸に『政界は一寸先は闇』という先人の悲鳴がうつつとなって蘇っていることでしょう。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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